アーマードコア～クローズプラン～
作：ひつぎ
（♂４：♀２：不問１）
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○ハリ（♂） ：20代前半、勝気な青年。勝負師なところもある。
○マクシミリアン・テルミドール（♂） ：20代後半、ORCA旅団長。毒舌だが、情熱がありロマンチスト。
クローンである「？？？」も兼任してもらいます。
○王小龍（♂） ：50代、読み方は「ワン・シャオロン」
ＢＦＦの政治家であり、重鎮兼リンクス。
腹黒い一面をみせ、自らが見立てた女王の影に隠れて陰謀を画策する。
○セレン・ヘイズ（♀） ：30代後半、元リンクスの女教官。
静かな物腰の中に、時折凄まじい迫力を感じさせる。
○リリウム・ウォルコット（♀） ：20代前半、ウォルコット家の才女。
王小龍のために動く駒。自らが果てるときでさえ落ち着いている。
○銀翁（♂） ：40代前後。ネオニダスで登録しているが、
銀翁の愛称で呼ばれる。ネクスト機は月輪「がちりん」
○ナレーション（♂or♀） ：世界の終焉と希望の絶妙な雰囲気をかもし出してください。
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※かなりのネタバレ注意
AC4～AC4fAまでの内容
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BGM opening act
ナレーション
「遠い未来の話。
人型機動兵器アーマードコア。
パイロットはレイヴンと呼ばれ、
戦車や戦闘機を遥に凌ぐ最高戦力として
長き時代を奔走してきた。
そんな中、コジマ博士は特殊な粒子、
コジマ粒子を発見。
それを運用した新兵器『ネクスト』が開発され、
パイロットはリンクスと呼ばれた。
これにより、今までのアーマードコアは
『ノーマル』と称され、
ネクストに劣るものとして位置づけられた。
ネクストを開発した企業群は、
環境問題の改善、資源の枯渇など、
様々な問題に対処できなくなり、
完全に信用を無くした国家に対して、
クーデターを起こした。
それに至るまでの企業群の自信の裏づけが
このネクストでもあった。
かくして時代は、国家に代わり、
企業が支配する新体制、
『パックスエコノミカ』となった。」
BGM 変更 Welcome to the earth
テルミドール(M)
「国家解体戦争以前、企業は、
新たなフロンティア、宇宙を巡って激しく争い、
ただ敵対者を妨害するためだけに、
致命的な無人兵器、アサルト・セルが開発された。
それは、争いの激化に伴い、衛星軌道を埋め尽くし、
結果、人類は自ら宇宙への道を閉ざすことになる。
それが、今日まで続く企業の罪だ。
これがために、人類は種として閉塞し、
この惑星で壊死を迎えようとしている。
国家解体戦争も、リンクス戦争も、
この罪を隠匿するためにあった。
であれば、ORCA（オルカ）旅団の戦いは、
この罪を清算するためにある。
犠牲なき解決の機会は、遥か昔に失われている。
贖罪に痛みが伴うならば、
それは甘んじて受け容れなければならない。
それが、我らの咎だ。」
BGM 終了
リリウム
「ラインアークのホワイト・グリント、
およびフラジールは大破。
ステイシスも海中に没し、
オッツダルヴァ様は生死不明となっています。
結果、生存を確認されているのは、
ホワイト・グリントのパートナーのみとなります。」
BGM Turn it round
王
「ほう、予想外だな。
ラインアークにあれを落せる者がいるとは･･･
何者だ･･･？」
リリウム
「詳細は『独立傭兵』とだけ･･･」
王
「独立傭兵･･･か･･･」
リリウム
「王大人（ワンターレン）、
どうされました？」
王
「うむ･･･とにかく、ホワイト・グリントは失われた。
その生き残りは、特にラインアークの子飼いでもあるまい。
最低限の目的は達成している。
これでクレイドルを否定する勢力はいなくなった。
これより経済戦争は激化の一途を辿ることになろう。
リリウム、お前にも働いてもらうぞ。
私に恥をかかせるなよ。」
リリウム
「はい、王大人。
しかしその生き残り、処遇はどうしましょう？」
王
「まあ、そのうち何かしら仕掛けるだろう。
その手の駆け引きを好む連中がな。」
間
ナレーション
「南下中の第８艦隊が、北西洋にて展開している。
ホワイト・グリント撃破作戦を生き抜いたリンクスが、
今、インテリオル・ユニオンからの依頼を受け、
作戦領域へ向かっていた。」
セレン
「作戦領域まであと僅かだ。
今回のミッションは、
アームズフォート・スティグロと協働してもらう。
ミッションターゲットは、
南下中の第８艦隊だ。
この第８艦隊は、連戦でかなり消耗している。
スティグロとお前でかかれば造作もないだろう。
ちなみに今回の報酬は、
撃破数に応じて増加する歩合制だ。
僚機というよりライバルだな、スティグロは。」
ハリ
「へへっ、
アームズフォートと競うことになるとはなあ。」
セレン
「さあ、作戦領域に到着だ。
出撃準備、できているな。」
ハリ
「おうよ！」
BGM 終了
ナレーション
「ハリのクラースナヤが今、輸送機から出撃する。
その後方から、アームズフォート・スティグロが出迎える。」
BGM PreciousPark
セレン
「ミッション開始。
第８艦隊を排除する。」
ハリ
「インテリオルの兵士諸君、
ご苦労さん。
だが、勝つのは俺だぜ！」
セレン
「こら、まじめにやれ。」
ハリ
「へいへい、（スティグロの攻撃）
っておわっ！･･･っとと。」
セレン
「なんだ？スティグロの弾だぞ。
誤射･･･か？
フン、識別もまともにできんか。
鉄屑が。」
ハリ
「ったく、頼むぜ、
スティグロさんよお～！」
ナレーション
「両者は順調に第８艦隊を殲滅していく。
だが、その後もスティグロの誤射が目立つ。」
ハリ
「いてっ･･･いてえって！
くそっ、何のつもりだ！
何発誤射すりゃ気が済むんだよ！」
セレン
「機体ダメージ４０％･･･
スティグロ･･･
お前を狙っているな。
面白い、罠のつもりか。
返り討ちだ、第８艦隊もろとも葬ってやれ！
･･･いい見せしめだ、
つまらない裏切りを後悔させてやれ。」
ハリ
「了解、たっぷりお返ししなくちゃなあ！」
セレン
「まあ教えてやるといい、
単純なハードウェアの限界をな。」
ハリ
「俺を敵に回したこと、後悔させてやるぜえ！
おらおら、デカイだけか？
この野郎！さっきはよくも･･･ガッ！」
セレン
「馬鹿野郎。本来の敵を見失うな。
四面楚歌だということを忘れるなよ。
常に四方へ気を配れ。」
ハリ
「おっけーおっけー･･･」
ナレーション
「そのとき、
スティグロがクラースナヤ目掛けて突進してきた。
ハリは、その上に飛び乗り、
レーザーブレードをここぞとばかりに叩きこむ。」
ハリ
「おらおらおらおらあー！
マウントポジションだぜ！！」
セレン
「アームズフォート・スティグロの撃破を確認。
よし、残敵を掃討する。
どうせなんだ、たっぷりと報酬をいただくぞ。」
ハリ
「これ、報酬もらえるのか？
スティグロぶっ壊しちまったけど･･･。」
セレン
「なあに、裏切ったのは向こうだ。
機体修理費と弾薬費を肩代わりさせてもいいぐらいだ。
仮にゴネてみろ、ただじゃ済まさんさ。」
ハリ
「こ、こえー･･･。」
セレン
「第８艦隊残り僅か、いいペースだ。
そのまま一気に畳み込め。」
ハリ
「ひー、ふー、みー、あれ、一隻足りねえぞ･･･。」
セレン
「見逃しているんだ。
後方数キロ先にいる。
まったく、ちょっと眼を離したらこれだ。
急げ、領域を離脱されるぞ！」
ハリ
「逃がすかよ！
オーバードブースト！」
BGM 終了
ナレーション
「最後の一隻を無事撃破したハリ。
しかし、こんなことはこのミッションだけではなかった。
インテリオル・ユニオンからの依頼では、
ことごとく扱いがひどい。
ＶＯＢの故障で強制パージをやむなくし、
地上戦にもつれ込んだり、
隔壁の故障で閉じ込められたりといった風だ。
セレンも段々と我慢の限界に近づいていた。」
セレン
「ふっ、馬鹿にしてくれる。
『作戦指揮者を厳重に処罰致します』だと？
社畜の一匹や二匹を処分したところで、
私の気が治まるとでも思っているのか･･･
･･･ユニオンはもう信用できんな。
今に見ていろ･･･後悔させてやるからな･･･」
ハリ
「珍しく感情的だな。」
セレン
「私のリンクスを侮辱されたのだ、
感情的にもなるさ。」
BGM Turn it round
王
「アルテリア施設を所属不明機に襲撃される事件が多発している。
ルールを守れない連中には、
静かに退場してもらおう。
それがラインアークの残党であれ、
レイレナードあたりの亡霊であれ･･･な。」
リリウム
「例の首輪付きですが、
陰湿な裏工作に耐えかねて抗議を度々行っているようです。」
王
「ふっ、まあ放っておけリリウム。
奴らのやり方は好かんが、
ただの傭兵だ。
クレイドルに反対する態度も、
未だに見せん。
ただ依頼を受けて動いた･･･
それだけだ。
･･･まあ、それが本来のリンクスと言ったところか･･･」
間
リリウム
「王大人、ＢＦＦブローカーから連絡です。
我が社のアームズフォート・ギガベースが交戦中とのことです。
王大人にも出撃命令が。
出撃されますか？」
王
「そうだな、
たまには私も動かないと、
鈍ってしまいそうだ。」
BGM 終了
ナレーション
「７月、所属不明ネクスト機による、
アルテリア施設同時襲撃。
その殆どが成功し、
アルテリアからエネルギーを受けて航行を続けていた、
空中都市システム『クレイドル』は、
拠って立つエネルギー基盤を大きく揺るがされた。
そして、マクシミリアン・テルミドールの名で、
ごく短い声明が世界に発信される。
ToNobles.Welcome to the Earth.
（トゥーノーブルス ウェルカムトゥージアース）
それは、全ての空へ住む人々への、
明確な宣戦であった。
企業は、安全な経済活動を放り出し、
この狂気の反動勢力、
ＯＲＣＡ（オルカ）旅団に対することを余儀なくされた。
人々は、覚束ない足元にはじめて気づいたかのように、
ただそれを恐怖するしかなかった。」
BGM set the sunset
銀翁
「これでクローズプランは第一段階を遂げた。
後は衛星軌道掃射砲基地を制圧して、
アサルトセルを殲滅する。
宇宙への道は切り開かれ、
人類はめでたく滅亡を免れる。」
テルミドール
「そう簡単にはいくまい、
企業の老いぼれどもにとっては、
自分たちの生きていない数百年先の未来より、
今が大事なのだ。
我々の思いは伝わるまいよ。」
銀翁
「だが、徐々にアルテリア奪還部隊が動いている。
形勢逆転は時間の問題だ。
時期を早めるべきではないのか。」
テルミドール
「我々には切り札がある。
それをほのめかせば、
老人共は取引に応じざるを得まい。」
銀翁
「人類存亡の危機を招いたのが、
自分たちだと知れたら、
それこそ事だな。」
BGM 終了
王
「どういうことだ。」
リリウム
「作戦領域内、
敵反応無し、
これは･･･
ギガベース、及び護衛艦隊、
全滅･･･しています。」
王
「ばかな、これほど短時間で全滅だと･･･
カラード上位ランクでもそうやすやすと･･･」
リリウム
「ギガベースの残骸から戦闘データを回収します。」
王
「うむ。」
ナレーション
「戦闘データから、音声記録が復元され、
再生をすると、そこには、
こんな会話が記録されていた。
『そんな･･･馬鹿な！
あれは･･･ステイシ･･･（ノイズで聞き取れない。）』
リリウムは、再生を止めた。」
王
「ステイシ･･･ス･･･か？
ありえんだろう。」
リリウム
「しかし、オッツダルヴァ様が襲撃を敢行したのであれば、
合点がいきます。
ギガベースを私たちの到着前に落すことも、
オッツダルヴァ様であれば造作もないことでしょう。」
王
「ううむ。
問題はあの小僧がなぜこのタイミングで現れたかだ。
ＯＲＣＡ（オルカ）･･･といったか、
あの勢力の行動とほぼ同時に･･･だ。」
リリウム
「あの勢力に、与している。
とおっしゃるのですか？」
王
「そうだとしたら･･･厄介だな。」
リリウム
「ご安心を、王大人。
その場合は、リリウムが直接粛清してみせます。」
王
「確かに、オッツダルヴァがランク１、
それを押さえ込めるのはランク２のお前ぐらいか。
まあ、数字なんて当てにならんがな。」
間
ナレーション
「ORCA旅団本部にて。」
テルミドール
「衛星軌道掃射砲の存在が、
企業連に漏れたようだ。
ＯＲＣＡ（オルカ）内部に、
裏切り者がいるのはわかっていたが、
そろそろはじき出したほうがよさそうだな。」
銀翁
「それにクローズプランも佳境だ。
どうせ追加の戦力は用意できないんだろう？」
テルミドール
「ああ、すまない。
メルツェルの指示通り、
エーレンベルクはお前に任せる。」
銀翁
「なあに、
このアサルトキャノンが吉と出るか凶と出るか･･･
それ次第では、あるいは･･･」
テルミドール
「それを見越してのメルツェルの考えだろう。
では、頼んだぞ。」
間
ナレーション
「衛星軌道掃射砲基地にて、
銀翁の月輪が待ち受ける。」
BGM Cosmos
銀翁
「さあて、お出でなすった。
テルミドール、
お前さんが目をかけてたカラードの首輪付きだ。」
セレン
「ミッション開始。
衛星破壊砲エーレンベルクを全て破壊し、
敵ネクストを撃破する。
敵ネクスト月輪に注意しろ。」
ハリ
「了解。戦闘準備できてるぜ。」
リリウム
「アンビエント、戦闘準備出来ています。
目標を確認しました、問題ありません、
作戦を開始します。」
銀翁
「ほう、ＢＦＦのお嬢様にお供のリンクス二機とは、
企業も本気らしいな。」
ハリ
「二機だと？」
王
「さすがに気づくか、
良い勘をしている。」
銀翁
「王小龍か、なるほどな。
密かに狙撃とは、実にあの男らしいわ。」
ハリ
「僚機がもう一機。
これは･･･負けられないな。」
セレン
「アンビエント、及びストリクス・クアドロを確認。
いづれも僚機だ。
だが勘違いするなよ。
お前がおんぶに抱っこでは意味がない。」
ハリ
「わ、わかってるよ！」
銀翁
「ふん、メルツェルの小僧めが、
キツイ仕事を押し付ける。
掃射砲を攻めるとなれば、企業の連中も真剣だろうに。
まあ、こいつの実戦テストには丁度いいわ。
森があれば、木の葉も隠し様があろうよ。」
セレン
「なんだ･･･
敵ネクスト、コジマ収縮を開始。
アサルト･･･アーマーか？」
ハリ
「おわっ！
なんだ、今のは･･･！？」
王
「なるほど、新型のコジマ兵装か。
遅いが当たれば致命傷だ。
気をつけろよ、リリウム。」
リリウム
「はい。王大人。」
セレン
「敵のコジマ兵装は、
アサルトアーマーを収縮して前方に打ち出すようだ。
絶対に当たるな。」
ハリ
「はいよ。
だが、このコジマ濃度じゃ、
射線が見分け難いな。」
ナレーション
「そのとき、
なんとネクスト、ステイシスが
戦場に現れた。」
？？？
「作戦開始。
敵ネクストを排除する。」
王
「オッツダルヴァ･･･
やはりＯＲＣＡ（オルカ）に身を寄せていたか。
遠慮はいらん。
反乱者は粛清してしまえ。」
リリウム
「はい、ネクスト、ステイシス。
これも排除します。」
？？？
「死ね！
･･･くそ、当たらん･･･
この！この！」
王
「どうした、
動きが悪い。
天才が見る影もないぞ。」
リリウム
「これは、本当に、オッツダルヴァ･･･様？」
？？？
「･･･っ！
ぐはっ！
機体ダメージ９０％か。」
リリウム
「これでとどめです。
覚悟してください。
オッツダルヴァ様。」
？？？
「俺は･･･がはっ！」
セレン
「ネクスト、ステイシスの撃破を確認。」
銀翁
「ふむ、やはりあの程度か。
さて、今度は私が相手だ。
アサルトキャノンを味わわせてやろう。」
ナレーション
「どういうことか、
銀翁はステイシスの戦闘を傍観していた。
やっと戦闘に加わった月輪はアンビエントを圧倒する。」
リリウム
「･･･強い。」
銀翁
「ほうら、どこを狙っている。」
リリウム
「重量機なのに･･･当たらない･･･」
銀翁
「それでリンクスとは、
笑わせる。」
ナレーション
「リリウムが不用意に近づいた瞬間、
銀翁はクイックブーストで一気に距離をつめ、
至近距離でアサルトキャノンを放った。」
リリウム
「きゃあっ！」
銀翁
「そうら直撃だ。
まずいまずい、生き残れんぞ、
そんなことでは。」
リリウム
「機体装甲９０％損傷。
まだ、続行可能です。行けます！」
王
「ちっ。」
セレン
「おやおや、
･･･お前は、真似をするなよ。」
ハリ
「ああ、あんなのもらっちゃたまらんぜ。」
銀翁
「･･･児戯だのう、お前さん、
まるでよちよち歩きじゃないか。」
王
「馬鹿な、仮にもメアリー・シェリーの後継人だぞ。
こんなにも容易く･･･。」
銀翁
「おっと、はは、狙撃の腕は鈍ってないようだな。
王小龍。」
王
「良い的だぞ、貴様。」
銀翁
「まとめて相手をしてやろう。
さあ、説教が必要なのはどいつだ？」
リリウム
「一旦距離を取ります。」
銀翁
「どこへ行くというのだね。
もうどこにも逃げられはせんよ。
リリウム・ウォルコット。」
ナレーション
「一度距離を取って体勢を立て直そうとするリリウムを
銀翁の月輪は重量機とは思えない速度で回り込んだ。
そして、その双腕の強力な火器を、
遠慮なく叩きこんだ。」
リリウム
「っ！（被弾）
こんなところで･･･」
銀翁
「避けられなかったなあ、お嬢ちゃん。」
リリウム
「･･･アンビエント戦闘不能。
作戦は失敗です。
お許しください、王大人。
リリウムは、ご信頼に･･･背きました。」
王
「やはり、私ではこの程度か。」
ハリ
「おいおいおい！
どこいくんだよ！」
銀翁
「尻尾を巻いて逃げるがよいよ、
王小龍。
戦場に陰謀屋は不似合いだ。」
王
「ちい、次の後継人を探さなければ。」
セレン
「ストリクス・クアドロの領域離脱を確認。
･･･狸爺が。
ふざけた真似を。
いいだろう、そっちがその気なら、
こっちにも考えがある。
･･･ミッションを放棄するぞ。」
ハリ
「ええ！？
俺まだ何もしてないぞ？」
セレン
「知らん、やってられるか。」
ナレーション
「最精鋭を衛星軌道掃射砲基地で失った企業は、
徐々に、その勢力を弱めていく。
ＯＲＣＡ（オルカ）の勢いは、もはやとめられない。
そう思われたとき、ハリとセレンの元に、
思わぬ依頼が飛び込んできた。」
セレン
「どうする、お前次第だ。
私はそれに付き合うだけだ。」
ハリ
「･･･そうだな、
よし、
･･･了承しよう。
俺もやつとは戦ってみたい。
この間はまともに戦ってないしな！」
セレン
「ふん、いいだろう。
受諾した、と伝えておこう。」
ナレーション
「それは、
衛星軌道掃射砲エーレンベルクを
再度攻略しようとする作戦であり、
そして、僚機にアームズフォート部隊をつけるとの約束だった。」
BGM Today
セレン
「ミッション開始。
ターゲットはわかっているな。」
ハリ
「ああ、もちろんだ！」
セレン
「今回はアームズフォート部隊及び、王小龍の護衛付きだ。
派手に暴れて来い。」
ハリ
「いっくぜええ！
ってあれ･･･？」
セレン
「･･･ん？
アームズフォート部隊、後続していないな。
どういうことだ。」
王
「どうやら、お前はお偉方のご機嫌を損ねてしまったようだ。
恨みはないが、消えていただく。」
ハリ
「なんだと！？
ぐはっ！」
セレン
「退避しろ！
くそっ、老醜が、
こんなことがあってたまるか！」
銀翁
「･･･ん？
またお出でなすったか、首輪付き。
･･･おやおや、どうやら仲間割れを始めたらしいな。
面白い。
せっかくテルミドールが目をつけてるんだ。
取り込んでみるか。
･･･おい、小僧。
ＯＲＣＡ（オルカ）に手を貸さないか。
うちの旅団長がお前に御執心なのでな。
そうすれば、私がお前を助ける理由ができるのだが。」
ハリ
「なるほどな･･･
確かに･･･もう、カラードではやっていけないな･･･」
セレン
「お前が選べ、私はどっちでもかまわないさ。
ただ、そちら側につくことがどういうことか。
それさえわかっていればそれでいい。」
銀翁
「どうするんだ？
ボロ雑巾になってからでは遅いぞ。」
ハリ
「わかった！
協力しよう！」
BGM Viper
銀翁
「そうこなくちゃな！
さあて、鉄屑が相手ではちと物足りないが、
楽しませてもらうとするか。」
セレン
「よし、作戦目標変更。
敵ネクスト、ストリクス・クアドロ及び、
全アームズフォートを撃破する。」
王
「･･･！？
月輪･･･
首輪付きを援護しているのか！？
･･･馬鹿な、首輪付きめ、
ＯＲＣＡ（オルカ）に与したか。」
銀翁
「私のアサルトキャノンに巻き込まれんでくれよ。
せっかく助けた命だ。
私のせいで死んでもらっては、
慰みにもならん。」
ハリ
「了解、気をつけるよ！」
銀翁
「そうら、そっちに行ったぞ。
お前なら、できるんだろう？」
ハリ
「任せろ！」
セレン
「よし、敵勢力、残り半数。
･･･？
ストリクス・クアドロが見当たらない。
･･･王小龍め、
逃げ足だけは速いな。」
銀翁
「心配しなさんな。
何も問題はない。」
ハリ
「･･･？」
銀翁
「敵反応残り僅か。
アームズフォート部隊、撤退を開始したな。」
BGM 終了
王
「ぜぇぜぇ、
おのれ、首輪付き。
ことごとく私の顔に泥を塗ってくれる･･･。」
BGM Remember
？？？
「メルツェル様の指示通りだ･･･
現れたな、ストリクス・クアドロ。」
王
「っ！？
なんだ･･･貴様らは･･･
なぜだ･･･どうなっている！？
どうして･･･」
？？？
「問答無用だ。
死んでもらう。」
王
「ステイシス･･･
オッツダルヴァ･･･
貴様、なぜ生きて･･･ガッ！」
？？？
「目標、完全に包囲。」
王
「後ろにも･･･だと！？
貴様ら･･･いったい･･･」
？？？
「貴様が知る必要は･･･ない！」
王
「がああ！
おのれ･･･
ここで･･･果てる･･･か･･･。」
？？？
「作戦終了。
帰還する。」
BGM終了
セレン
「全敵勢力、領域を離脱。
･･･まて･･･
これは･･･
敵ネクスト反応、急速接近。
･･･なっ･･･こいつは･･･」
銀翁
「･･･ん？」
ナレーション
「同じ頃、
衛星起動掃射砲基地エーレンベルクへ接近する。
大型のネクスト機がいた。
そして、不意に銀翁達に攻撃を加えてきた。」
銀翁
「(攻撃回避)おっと、こいつは･･･」
BGM Fall
？？？
「メインシステム、戦闘モード起動。
ターゲット確認。
これより排除する。」
セレン
「･･･プロトタイプネクスト！？
最悪の遺物まで持ち出すとは･･･
見境なしか。」
ハリ
「な、なんだありゃあ！？」
セレン
「注意しろ！
あれの動きは尋常ではないぞ。」
銀翁
「どういうことだ。
なぜプロトタイプネクスト・アレサに、
クローンリンクスが乗っている･･･」
ハリ
「クローンだって！？」
銀翁
「･･･久しいな、これほどやられるのは･･･」
？？？
「ぐふっ･･･」
銀翁
「あれの負荷に耐えられんようだ。
動きが止まった。」
ナレーション
「アサルトキャノンをぶつけようと、
止まっているプロトタイプネクスト・アレサに近づく月輪。
しかし、そのとき、
アレサの凄まじい弾幕が近距離で月輪を捕らえる。」
銀翁
「ぐっ･･･
まさか、耐えているというのか、
･･･違う････
クローンリンクスではない･･･のか？」
？？？
「その程度か？
月輪。」
銀翁
「まさか･･･
テルミドール･･･なのか？」
セレン
「テルミドールだと？
裏切ったか･･･
元より貴様の始めたことだろうが！」
？？？
「テルミドールはクラニアムで既に死んだ。
ここにいるのは、
ランク１オッツダルヴァだ。」
銀翁
「まさか･･･
オリジナル。
生きていたのか！？」
？？？
「おしゃべりは終わりだ。
貴様らに話すことは、
･･･もう何もない。
こいつの負荷が思ったよりキツイのでな。
早めに、
終わらせてもらうぞ。」
ナレーション
「おびただしいガトリングの掃射に、
銀翁の月輪は、
避けられず、
徐々にその機体ダメージを増していく。」
銀翁
「機体損傷･･･限界･･･か。
まさか、ここで終わりとはな･･･
すまんなジュリアス、
次は私らしいよ。
だが、メルツェルの備えは万端よ、
何をしても、もう止められんわ･･･
首輪付き、後は頼んだぞ。」
ハリ
「くそっ！
月輪、やられたか！」
？？？
「･･･がはっ
まだ･･･やれる。」
銀翁
「･･･遂げろよ、メルツェル。」
ナレーション
「月輪は爆発を起こし、大破した。」
セレン
「月輪の大破を確認。
プロトタイプネクスト、
奴の動きが止まったらチャンスだ。
火力を集中しろ。」
ハリ
「なんだか、よくわからなくなってきたが、
敵は排除するのみよ！」
？？？
「くっ･･･
この私でも、過ぎた代物だったというのか･･･？」
ナレーション
「その戦闘中に、度々動きを止めながらも、
その高い負荷に耐えながら戦うオッツダルヴァ。
しかし、それを見極められてしまい、
徐々にハリの優勢へと転じていく。」
セレン
「動きが止まった。
今だ！」
ハリ
「おらおらおらー！」
？？？
「くっ･･･
限界･･･か。
貴様も革命家を気取る、
私のクローンに踊らされるか。
その思い上がりが身を焦がすだろう。
せいぜい見届けるがいい、
人類の末路をな･･･
貴様には、その権利と･･･義務が･･･ある･･･。」
ナレーション
「そう言い残すと、オッツダルヴァのアレサは大破した。
いまや、ＯＲＣＡ（オルカ）の主要メンバーは、
ハリ一人となった。」
BGM Set the Sunset
セレン
「クローズプラン第一段階完了か。
テルミドールがクラニアムに倒れたと言うことは、
今や、お前だけがＯＲＣＡ（オルカ）だな。」
ハリ
「･･･ああ。
･･･これから、大変だな。」
ナレーション
「衛星軌道掃射砲エーレンベルクを確保したＯＲＣＡ（オルカ）旅団は、
やがてクラニアムを制し、
支えを失ったクレイドルは、
地上に降りた。
荒廃した大地に絶望する母親の腕の中で、
幼子が、汚れた大気に激しく咳き込み、
老人はその場で倒れこむ。
そして、衛星軌道掃射砲が、
ゆっくりと充填されていく。
やがてその砲火が、
企業の罪、地球を覆うアサルト・セルの網を払い除けるだろう。
･･･人類は、その数を大きく減らしながら、
宇宙と言うフロンティアを手に入れる。
人類が前進するための正のエネルギー。
成長と野心と。新しい、戦争の時代だ。」
～終わり～
