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アーマード・コア

作者さんに許可をいただいて掲載してます。 戒愁橙里が同席する場のみご利用可能です。 それ以外で使用する場合は事前にご連絡ください。

(♂-4~5:♀-1:不問-1)~正義の剣~

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(♂-4~5:♀-1:不問-1)~正義の剣~

アーマードコア~正義の剣~
作:ひつぎ
(♂-4~5:♀-1:不問-1) 所要時間35分
ウィン・D・ファンション♀ :プライドが高く、正義感があり、
 意思も強い女性リンクス。カラードランク3で、
 名のある剣士としても有名。
 ネクストは騎士の剣を意味する「レイテルパラッシュ」

ロイ・ザーランド♂ :掴みどころのない空とぼけた男。軽い感じの独立傭兵。
 ネクストの意味は"我に祝福を"「マイブリス」

メルツェル♂ :ORCA旅団の若き参謀。
 クールで冷静に物事を判断する。
   ネクストはチェスの定跡を意味する「オープニング」

ヴァオー♂ :猪突猛進する、竹を割ったようなさっぱりした性格。
 搭乗機は「グレディッツィア」カブトムシ。
マクシミリアン・テルミドール♂ :毒舌ロマンチストなORCA旅団長。
   情熱的な扇動家。機体は「アンサング」"称えられない"  
井上真改♂ :無口な名のある刀匠。強い剣士と戦うことが生きがい。
 機体名は「スプリットムーン」

ナレーションN :人類の存亡をかけた戦いの雰囲気に合う感じで。
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BGM opening act
ナレーション
「慢性的な資源の枯渇。
 増え続ける人口。
 汚染されていく大気。
 世界的に統治能力を失った国家に対し、
 大企業グループは見切りを付け、
 新兵器ネクストを足がかりに、
 次々と国家軍を葬った。
 政府は一ヶ月と持たずに降伏し、
 やがて、企業が世界を支配する時代が訪れる。」

BGM変更 Intro
ロイ
「ウィンディー、無事か!?」

ウィン
「ああ、お前が無事なんだ。
 私が無事でないはずがないだろう。」

ロイ
「そりゃどういう意味だ。」

ウィン
「冗談だ。」

ロイ
「それにしても・・・
 こんな奴らが頻繁にアルテリア施設を攻撃している・・・
 一体何が起こってやがんだ・・・」

ナレーション
「アルテリア施設とは、
 空中居住プラットホーム『クレイドル』を航行させ続けるために、
 地上からエネルギーを送る施設である。
 クレイドルは、この汚染された地上を逃れ、
 高度9000メートル上空で、
 裕福な人々が正常な空気を満喫するための"揺りかご"
 一基に付き、2000万人ほどの人間が生活している。
 
 アルテリア施設のエネルギー供給がなくなれば、
 正常な空気に慣れた弱い人間が、
 地上で生活することになる。
 恐らく大半が死に絶えるだろう。
 ・・・企業郡はあらゆる戦力を投入し、
 これを阻止しようとした。
 しかし、アルテリア施設の大半は陥落。
 企業は、この所属不明機たちの前にただひれ伏すしかなかった。」

BGM終了
ロイ
「ホワイトグリントがラインアークに倒れたそうだ。
 オッツダルヴァは生死不明、僚機のネクストも大破。
 こっちはまだ無名のリンクスか。
 まぁ、悲しくもなんともないがねぇ。
 オッツダルヴァの野郎は前からいけ好かなかったんだ。
 偉そうにしてやがるしよ。
 
 それにしても、ホワイトグリント一機に二機で挑んで相打ちとは・・・
 (小馬鹿にしたように)
 結局、自信が過信だったということかねえ、
 オッツダルヴァの天才坊やも。」

ウィン
「それはどうかな・・・
 存外深く潜れる男なのかも知れんぞ。」

ロイ
「・・・?
 どういうことだ・・・?」

ウィン
「リンクス管理機構カラードの幹部会議によると、
 オッツダルヴァは戦闘開始早々にメインブースターの損傷を訴え、
 作戦開始わずか5分で作戦領域を離脱して水没したそうじゃないか。
 それにホワイトグリントは一度敗れ、
 機能を停止した後に再起動したらしい。
 再起動だぞ、信じられるか?
 そんなネクスト、聞いたことが無い。
 いろいろ匂うんだよ、
 
 ・・・ま、目的は果たされた。」

ロイ
「それはまた・・・
 しまらない話だがな。
 あのオッツダルヴァがねぇ・・・」

ウィン
「それより、アルテリアの件はどうなっている。
 堂々とクレイドルの要諦を狙われ、
 全て不明、打つ手なしなど、
 管理者の存在意義が問われるだろう。」

ロイ
「まあ、
 俺たち傭兵が気にしても仕方がない。
 俺たちは、与えられた仕事をこなすだけさ・・・」

ウィン
「・・・(溜息)」

BGM Welcome to the Earth
ナレーション
「ORCA旅団本部、
 メンバーによる話し合いが行われていた。」

テルミドール
「政府の見解によると、
 私は生死不明だそうだ。(嘲笑)
 あの僚機のリンクスもあの程度とは、
 私の見込み違いだったか。
 もはや我々に頼るものは何も無い。」

メルツェル
「元よりそのつもりだろう?
 何、焦る必要はないさ。
 切り札は我々にある。」

ヴァオー
「切り札だぁ?」

メルツェル
「フッ・・・
 今にわかるさ。」

ヴァオー
「ヘッ!
 面白いようにお前の筋書き通りってわけだな。」

メルツェル
「最精鋭を衛星軌道掃射砲基地に失い、
 アルテリアの過半は既に機能を停止している。
 あとは・・・分かり易いよりどころを奪ってやればよい。
 それで賢そうな妥協が頭を過りだすさ。
 元より、老人とはそういう生き物だ。
 成功者であれば・・・特にな。」

ヴァオー
「はっはー、
 ちげぇねぇぜ!
 上に住んでやがるお偉いさん方の面、
 おがんでやりてぇなぁ。」

メルツェル
「自らの愚かしさに精々苦しめられるがいい・・・」

ナレーション
「国家解体戦争以前、 企業は、
 新たなフロンティア、宇宙を巡って激しく争い、
 ただ敵対者を妨害するためだけに、
 致命的な無人兵器、アサルト・セルが開発された。
 それは、争いの激化に伴い、衛星軌道を埋め尽くし、
 結果、人類は自ら宇宙への道を閉ざすことになる。
 
 マクシミリアン・テルミドールは嘯く。
 それが、今日まで続く企業の罪だ。
 これがために、人類は種として閉塞し、
 この惑星で壊死を迎えようとしている。
 国家解体戦争も、リンクス戦争も、
 この罪を隠匿するためにあった。
 であれば、ORCA(オルカ)旅団の戦いは、この罪を清算するためにある。
 犠牲なき解決の機会は、遥か昔に失われている。
 贖罪に痛みが伴うならば、それは甘んじて受け容れなければならない。
 それが、我らの咎だ。」

BGM 終了
ロイ
「ウィンディー!
  今朝のニュースを見たか!?」

ウィン
「ああ・・・みているさ・・・
 どうしようもない・・・
 老人の言訳なんて、
 見れたもんじゃないな。」

ロイ
「なに落ち着いてんだ!
 あの爺ども、
 クレイドルの住民を見捨てるって、
 言ってるようなもんだぞ!?」

ウィン
「くだらないな・・・
 国家だろうが企業だろうが、
 一度上に立ってしまったら権力におぼれてしまう。
 誰かがその体制を打ち倒せば、
 そいつがまた権力におぼれる・・・。
 機械的にこの繰り返し、
 とても人間的なやり取りには見えない。」

ロイ
「・・・で、どうするんだよ。
 その腐った人間どもをお前が打ち倒すのか?」

ウィン
「馬鹿を言うな。
 そんなことをしていたら、
 世界中の人間が死ぬまで終わらないじゃないか(嘲笑)」

ロイ
「また極論だな。
 だが、
 このまま黙って見ているお前じゃないことぐらい、
 わかってるんだぜ。」

ウィン
「馬鹿げているよ。
 人類のために人を殺すなんて。」

ロイ
「お、おいおい・・・
 待ってくれよ、まさかお前・・・
 冗談じゃないぜ?
 そんなもん誰が資金を出してくれるんだよ。
 一番可能性のあるクライアントが黙認してるんだぜ?」

ウィン
「まだ何もいってないぞ、ロイ・ザーランド。」

ロイ
「・・・ったく。
 つかめない女だ・・・
 いや、そこがまた・・・」

ナレーション
「一方、ORCA旅団会議室。」

BGM Turn it round
メルツェル
「老人達は取引に応じたよ。
 衛星軌道上に企業が張り巡らせたアサルトセル。
 こいつのことを世間に公表すると言ったら、
 あっさりクレイドルの住民を見捨てたさ。
 惨めな老人共だ。
 
 何も知らずに企業に尽くしてきた者達は、
 国家解体戦争の裏に、
 こんな事実が隠されていようとは、
 夢にも思うまい。
 後はビックボックスに哀れな走狗を迎え、
 その隙にアルテリア・クラニアムを制するだけだ。
 それでクローズ・プランは第一段階を遂げる。
 クレイドルを支えたエネルギーは、
 衛星軌道掃射砲に注がれるだろう。」

ヴァオー
「切り札ってのはそいつのことか、
 へっ!
 お前はやっぱり面白い男だ。」

テルミドール
「で、分担はどうする?」

メルツェル
「クラニアムがお前、ビックボックスが私だ。」

テルミドール
「お前が・・・?
 勝てるものか、
 相手は恐らく、ウィン・D・ファンションだぞ。」

メルツェル
「まあ、そうだろうな。
 そのときは、私が死ぬだけの話だ。」

ヴァオー
「俺が出よう。
 ビックボックスには馴染みがある。」

メルツェル
「ふっ、いいのか?
 自慢じゃないが、
 あのウィン・D・ファンションだ。
 我々に勝機はないぞ。」

ヴァオー
「そんなに手強いのか?」

メルツェル
「千里先も見通す、
 私が言うのだからな。」

ヴァオー
「ふっ。
 そいつあ楽しみだ。
 それをひっくり返してこそ、リンクスってもんだろう?」

テルミドール
「それで・・・いいのか?」

メルツェル
「ああ、
 元より私は、
 そのつもりでいた。
 私ではクラニアムは守りきれん。
 それに、
 勝気な猪武者も一人お供に付くことだ。
 私にはこの上ない舞台だ。」

ヴァオー
「へっ、
 そういうことだ。」

テルミドール
「・・・いいだろう。
 私がクラニアム、お前らがビックボックスだ。」

メルツェル
「だが、一つ気がかりなことがある。」

ヴァオー
「なんだ?」

メルツェル
「我々をビッグボックスで葬ったあと、
 ウィン・D・ファンションは、
 恐らくカラードの制止を聞かずに、
 クラニアムへ向かうはずだ。
 マクシミリアン・テルミドールの実力があれば、
 負けるはずはなかろう。
 
 だが・・・ウィン・D・ファンションには、
 パートナーがいると聞いたことがある。」

ヴァオー
「パートナー・・・だ?」

メルツェル
「まあ、売女風情が連れそう男など、
 たかが知れている。
 クライアントである企業が資金を出さなくなれば、
 もはやウィン・D・ファンションに付き合う意味もない。
 大人しく引き下がるだろう。」

ヴァオー
「まあ、真改もいるんだ。
 仮に出てきても、
 大丈夫だろう。」

メルツェル
「だと、いいのだがな・・・」

BGM 終了
ナレーション
「アルテリア施設が次々とORCA旅団の手に落ちていく中、
 突如、ビックボックスに本体があるという情報が、
 カラード機構に入る。
 ビックボックスは、
 クレイドル移住に伴い廃棄されたGA社の旧本拠地である。
 そのため、防衛設備が充実しており、
 その外郭には、大型の砲塔が数基配備されている。
 その討伐に、ウィン・D・ファンションが任命されたのだった。
 
 そして、ビックボックス近辺上空。」

BGM Today
ウィン
「こちらレイテルパラッシュ。
 ウィン・D・ファンションだ。
 一気に敵ネクストを叩く、
 傭兵、遅れるなよ・・・?」

ロイ
「誰に言ってやがるってんだ。」

ウィン
「ロイ!?」

ロイ
「まったく、こんな損な仕事。
 俺以外に誰が受けると思ってたんだよ。」

ウィン
「まったく・・・お前という男は・・・」

ロイ
「こちらロイ・ザーランド。
 マイブリスはいつでもいけるぜ。」

メルツェル
「ORCA(オルカ)旅団、メルツェルだ。
 ビックボックスへようこそ、
 歓迎しよう。盛大にな・・・!」

ヴァオー 
「やはりきたな、ウィン・D・ファンション。」

メルツェル
「二機か・・・
 例のパートナーだろう。
 不足はなかろう、ヴァオー!」

ヴァオー
「ハッハー!
 望外だ!
 いくぜメルツェル!!」

メルツェル
「猪突猛進か、
 まあ劣等種の我らには、
 それもよかろう!!」

ウィン
「やつの弾幕に気をつけろ。
 機動力を活かして畳み掛ける、散開!」

ナレーション
「目まぐるしい高機動戦闘に、
 重量機であるメルツェルのオープニング、
 ヴァオーのグレディッツィアは翻弄されていく。」

ヴァオー
「ぐぅ・・・。」

ロイ
「ほらよっ、
 背中ががら空きだぜ。」

ヴァオー
「ハッ悪くないぜ、お前らぁああ!」

ロイ
「おっと、ちい、
 プライマルアーマーが一瞬で消し飛ぶな。
 ガトリングモンスターめ。」

メルツェル
「存分に楽しめ、ヴァオー。
 私とお前にとっての晴れ舞台だ!」

ヴァオー
「ハッハー!!」

ウィン
「粗製どもが、その鈍い尻を切り刻んでくれる。」

メルツェル
「くう、おのれ・・・。」

ヴァオー
「こっちも相手してくれよ。
 ブラスメイデン!」

ウィン
「うっ!
 くそっ・・・レーザーブレードが・・・。」

メルツェル
「敵腕部ブレード破損・・・
 これは・・・
 いける・・・か・・・?」

ヴァオー
「おらおらー!
 蜂の巣にしてやるよー!」

ナレーション
「カラード勢力のウィン・D・ファンションと、
 ロイ・ザーランドは、
 ビッグボックス屋上中央を陣取るORCA勢力二機の火力に、
 だんだんと押され始め、
 近づくことができなくなっていた。」

ロイ
「ちい、追い出されちまったな。
 どうする?」

ウィン
「ブレードをブレイクされたんだ。
 近づく必要もないだろう。
 とんだ不良品を掴まされたものだ。
 ブレードを新調しなければな。」

ナレーション
「ヴァオーのグレディッツィアは、
 敵を屋上から押し出そうと前進をはじめる。」

ロイ
「くっ、また被弾か。
 あの弾幕をどうにかしねえとな。」

ヴァオー
「ハッ!貧弱、貧弱ぅ!!」

メルツェル
「ヴァオー、出すぎだ!」

ナレーション
「AMS適正の劣等な二人は、
 この目まぐるしいハイレベルな戦闘についていくだけで、
 ネクストの負荷により、その身を削られていく。」

ヴァオー
「ぐう・・・!(吐血)
 げはっ・・・!」

ロイ
「動きが悪くなってきた。
 その程度のAMS適正でよくやるぜ。
 今、楽にしてやるよ。」

メルツェル
「ヴァオー!
 もういい、撤退しろ!
 ここは私の死に場所だ。
 お前まで付き合う必要はない。」

ヴァオー
「ハッハー!
 まだまだいけるぜ、
 メルツェェェェェール!!!」

ウィン
「フッ、大した根性だ。」

ナレーション
「レイテルパラッシュと、
 マイブリスの息の合った連携。
 そこから繰り出されたハイレーザー攻撃が、
 ヴァオーのグレディッツィアを貫いた。」

ヴァオー
「ぐああ!
 ・・・へっ、
 いいぜ!お前らあああ!」

メルツェル
「ヴァオー、体勢を立て直す。
 私から離れるな!
 ヴァオー!ヴァ・・・
 聞こえていないのか・・・
 そこまで負荷が・・・
 もう・・・限界なのだな・・・
 
 よかろう、
 ならば私も付き合うまでだ!!
 貴様と私、
 火力では私も引けを取らんぞ!!」

ナレーション
「ヴァオーは果てる最中、
 一瞬だけ我に返る。」

ヴァオー
「へっ!
 ここまでか、
 悔いはねえ、
 楽しかったぜ・・・メルツェル・・・。」

メルツェル
「単純馬鹿が・・・
 死んで治るものでもあるまい。」

ヴァオー
「お前の望んだ時代・・・
 そこならきっと、
 もっと・・・楽しめ・・・(機体爆破)」

ロイ
「さてと、もう一機。」

メルツェル
「第四、第六砲塔、
 反転180度、
 私に当たってもかまわん、
 敵ネクストを攻撃しろ!」

ロイ
「なっ!
 砲塔が・・・
 なんてやつらだ。
 味方にあたったらどうするんだ。」

メルツェル
「ふっ・・・
 わかっていたとはいえ、
 勝機が一瞬見えてしまったこと・・・
 悔いが残らないと言えば、嘘になる・・・。」

ロイ
「全砲塔の破壊を確認。
 10秒もかかっちまった。
 さて、
 これでチェックメイトだな。」

メルツェル
「用済みとなって尚尽くすか。
 憐れな駒だ。
 全て終わっているのだよ・・・」

ロイ
「この状況でまだ強がるか。」

ウィン
「火力だけか、
 それでORCA(オルカ)とは、笑わせる。
 はしゃぎ過ぎたな、自動人形。」

メルツェル
「私の役目は憐れな走狗を誘う、
 ORCAの陽炎。
 全ては順調。
 過ぎたるは及ばざるが如し・・・」

ナレーション
「そういうとメルツェルは、
 オープニングの武器を下げた。
 その瞬間、
 ウィン・D・ファンションの、
 強力なハイレーザーが命中する。」

メルツェル
「くっ・・・
 潮時か・・・
 まあいい、もはや私も無用だ・・・
 テルミドール・・・
 後は任せた・・・
 
 結末が気になるが・・・
 それもいい、
 彼岸にて待とう・・・
 そこで待てば、いずれ答えが解ろう・・・
 人類に・・・黄金の時代を・・・」

ウィン
「ミッション完了か。
 ・・・でかい墓標だ。
 やつら皆でも不足はないな。」

BGM Welcome to the earth
ナレーション
「メルツェルをビックボックスに失い、
 ORCA旅団は次々に敗走し、
 ついにアルテリア・クラニアムにまで追いやられた。
 しかし、ここにきて黙認していただけの企業連は、
 カラードや、その傭兵達に圧力をかけてきた。
 まるでORCA旅団を庇うかのように・・・。
 今や、ORCAを止めるものは何もない。
 ただカラードに従わず独自に動いた、
 ウィン・D・ファンションと、
 そのパートナーを除いて・・・。」

BGM 終了
ロイ
「・・・どうだった。」

ウィン
「説明は認められていない。
 ORCAには一切手を出すな。
 ・・・だそうだ。」

ロイ
「ほう。」

ウィン
「大した管理者だ。
 偉そうに、非戦闘員を守る。
 そんな格好すらつけられないか。」

ロイ
「なに気張ってやがる。
 女の癖に格好つけすぎだ、
 所詮俺らは傭兵なのさ。」

ウィン
「・・・」

ロイ
「気に入らない・・・か?」

ウィン
「当たり前だろう。
 何のためのリンクスだ。
 プライドがなければ、
 誰が殺しなど販げるものか。」

ロイ
「・・・で、どうするんだ、ウィン・D?
 企業の依頼でも、
 カラードの指示でもない。
 つまり報酬は無しだ。
 ここまでお前に付き合ってきたが・・・
 世の中金だ。
 …もうボランティア活動は勘弁だぜ。」

ウィン
「好きにするがいいさ。」

ロイ
「…ちっ…」

部屋を後にするロイ
それを見届けるウィン
ウィン
「すまないな、ロイ。
 だが、私は・・・。」

BGM Someone is Always Moving on the Surface
ナレーション
「アルテリア・クラニアム。
 ORCA旅団最後の砦たる、
 マクシミリアン・テルミドールの駆る"アンサング"、
 真改の駆る"スプリットムーン"の、
 二機のネクストが待ち受ける。
 二人の覚悟は計り知れない。
 それはマクシミリアン・テルミドール、
 彼の機体名からも伺える。
 "アンサング"…
 "称えられぬ者"…
 彼は自らの行為が、計画が、理念が、
 決して正しいことではないと理解している。
 だが、誰かがやらねばならぬ。 
 そこへウィン・D・ファンションは、
 レイテルパラッシュを駆り、
 単機で臨む。
 己が正義を貫く為に…
 彼らの歪んだ正義を、
 打ち破る為に…」

ウィン
「ここがクラニアム中枢か。
 手当たり次第にリンクスに声をかけてはおいたが・・・
 フッ、やはり私一人か・・・」

テルミドール
「ウィン・D・ファンション、
 やはり貴様だけは、腐っては生きられぬか。
 …やるぞ、真改。」

真改
「…御意。」

ウィン
「貴様も、人類のためには、人の死を厭わないか。
 ならば自分で死を実践してみせろ。
 テルミドールと共にな。」

真改
「笑止・・・!」

ナレーション
「いきなりウィンディーに切りかかる真改。
 互いのレーザーブレードを、
 火花を散らしながら擦り付け合う。」

ウィン
「・・・!?
 隙がない。
 ORCAにこれほどの剣士がいようとは・・・」

テルミドール
「卑怯などと言うなよ。
 貴様も覚悟の上で一人で来たはずだ。」

ナレーション
「テルミドールは、
 真改と対峙しているウィンディーを挟み込み、
 攻撃を加える。」

ウィン
「ぐう・・・!」

真改
「覚悟・・・!」

ウィン
「これほどの剣士、
 正々堂々と手合わせしてみたかったが、
 そういうわけにもいかないか。」

真改
「愚問・・・愚答・・・」

ウィン
「フッ、
 そのとおりだな、
 剣士に言葉は不要。」

BGM 4 the Answer
ロイ
「そうだな。
 それに水を差すなんてのは、
 ちょっと無粋すぎやしねえか?」

テルミドール
「くっ!
 被弾した。
 ・・・後方か!」

ウィン
「ロイ・ザーランド・・・。
 お前は・・・。
 フ・・・存外、甘い男なのだな。」

ロイ
「そうでもないぜ。
 細かいことにこだわって・・・、
 それなりにせこい男さ。」

テルミドール
「貴様、ロイ・ザーランド。
 我々の誘いを受けておきながら、
 ブラス・メイデンに付くとは・・・
 情欲に駆られたか。」

ロイ
「おやおや、随分な言い草だな。
 ・・・悪ぃな、美人の涙が最優先さ。」

テルミドール
「結局、最後は我々だけ。
 そんな運命か。
 貴様もウィンと同類の人間ということか。
 愚かな。」

ロイ
「一つの命を思う。
 それを愚かと呼ぶか。
 歪んでるな、お前も。
 この世界も・・・。」

ナレーション
「マイブリスはアンサングを、
 レイテルパラッシュはスプリットムーンを、
 それぞれが激闘を始める。」

ロイ
「そらそら、いくぜぇ!
 マイブリス、我に祝福を!」

テルミドール
「フン、少しはやるようだな。」

ナレーション
「アンサングの背後に巨大な機影が現れた。」

テルミドール
「ジェット、出番だ。」

ロイ
「ア、アームズフォート!?
 どうしてこんなところに・・・!」

テルミドール
「我々も、手段を選んでいる暇はないのだ。」

ロイ
「まいったな・・・。」

ナレーション
「マイブリスとアンサング、
 アームズフォート・ジェットの戦闘が始まった。
 ロイ・ザーランドは圧倒的に不利な状況である。」

ウィン
「こいつ・・・まったく読めない・・・」

真改
「明鏡・・・止水・・・。」

ウィン
「く・・・!」

ナレーション
「ブレードがぶつかり合いながらも、
 ウィン・D・ファンションは機会を伺っていた。
 彼女の機体、レイテルパラッシュの背部には、
 大型のデュアルハイレーザーキャノンがある。
 彼女にとって、
 本当の剣はむしろこれである。
 しかし、真改の仕掛ける超接近戦に、
 使う間を与えられずにいた。
 そして彼女は、覚悟を決めた。」

ウィン
「フ・・・私も無粋だったな。」

ナレーション
「ウィンディーは切り札をパージした。
 鈍い音を立てて地に落ちるハイレーザーキャノン。
 そしてウィンディーは、
 身軽になったレイテルパラッシュで、
 レーザーブレードでの斬り合いに集中した。」

真改
「左様・・・」

ウィン
「ふん!」

ナレーション
「無言の斬り合いが続く、
 劣勢であったウィンディーも、
 徐々にその遅れを取り戻す。
 真改も彼女もまた、
 この斬り合いでは勝負がつかないことを悟った。
 そして、二機は睨み合いの状態・・・
 いや、居合いの体勢に入った。
 その・・・次の瞬間。
 両者はその光の刃を振りぬいた。」

真改
「終止・・・!」

ウィン
「はああ!」

(間)
真改
「・・・フ・・・無念・・・」

ウィン
「よし、敵ネクスト撃破。」

テルミドール
「増長だったな。
 貴様ごときがORCA(オルカ)を気取るなど、
 ・・・後は任せておけばいい、真改。」

ロイ
「ダメージ80%・・・
 楽に終われるか、
 願ったりだ。」

ウィン
「緩むなよ、ロイ。」

ロイ
「・・・任せとけよ。」

ナレーション
「六機あったアームズフォート・ジェットは、
 既に残り一機となっていた。」

ロイ
「食らえ!」

テルミドール
「アームズフォート・・・全滅か!」

ロイ
「あとはお前だけだ!」

テルミドール
「調子付くなよ、
 貴様如きが!」

ロイ
「があっ!」

ウィン
「ロイ!」

ロイ
「ダメージ限界・・・システムダウンか・・・。
 ハッ、ダセェな俺も・・・(通信途絶)」

ウィン
「・・・最後に殊勝とは、
 らしくないな、ロイ・ザーランド。
 ・・・まあいい、そこで見ているがいい。
 私の答えを・・・!」

テルミドール
「もはや私とお前だけか。
 ウィン・D・ファンション。
 悪いが、譲れないな。
 だが覚えておこう、お前の答えも。」

ウィン
「笑わせる。
 殉ずるがいいさ、己の答えに。」

テルミドール
「挑むつもりか、
 マクシミリアン・テルミドールに・・・!」

ウィン
「熱月とは、
 革命を気取るか。
 貴様らしい傲慢だなオッツダルヴァ。」

ナレーション
「テルミドールの高速戦闘に飲まれそうになりながらも、
 ブレードで起死回生を狙うウィン・D・ファンション。
 だが、徐々にこの天才的なテクニックに押されつつあった。」

ウィン
「さすがに素早いな。」

テルミドール
「カラードのときから貴様とは格が違ったのだ。
 ほらどうした。
 脳味噌までカビたか?
 隙だらけだ。」

ウィン
「くっ!」

テルミドール
「騎士の剣などと、
 貴様にはやはり、ブラスメイデンがお似合いだ。」

ウィン
「っ!
 機体装甲90%損傷・・・
 限界だと?
 ・・・まだいけるだろう、レイテルパラッシュ!」

テルミドール
「どうした。
 霞スミカが泣くぞ・・・?(嘲笑)」

ウィン
「くそっ!
 ここまで・・・なのか・・・?
 スミカ様・・・申し訳・・・」

ロイ
「あきらめるのは・・・まだ早いぜ・・・」

テルミドール
「っ!?
 貴様・・・!」

ロイ
「すまねえな、ウィンディー。
 こんなことしかしてやれねえ。」

テルミドール
「くそっ!
 はなせっ!
 その位置取りでは、
 貴様もただでは済まんぞ、
 ロイ・ザーランド・・・死ぬ気か!?」

ロイ
「あんまり力になれなかったな。
 ・・・やれよ、
 ウィンディー。」

ウィン
「ロイ・・・」

ロイ
「やれよ!」

ウィン
「お前の答え・・・
 見届けるぞ・・・!」

ロイ
「来いよ、
 教えてやる・・・
 俺の答えをな・・・」

ウィン
「くっ・・・
 ・・・うあああああ!」

テルミドール
「おのれえええ!!」

ロイ
「ふっ・・・馬鹿だな俺も・・・
 惚れた女のために死ぬ・・・
 これが・・・こんなもんが・・・俺の答え・・・か・・・
 ・・・悪くねえな・・・」

ナレーション
「一人の女が導きだした答え。
 とてつもなく長く感じる一瞬が過ぎ去り、
 輝く正義の剣が振り抜かれる。」

(間)
BGM Someone is Always Moving on the Surface
テルミドール
「がはっ!」

ウィン:息を整える
テルミドール
「我らの理念、
 我らの覚悟、
 我らの・・・力・・・
 すべてを切り伏せたか・・・
 
 なぜ貴様はそこまで拘る。」

ウィン
「スミカ様に誓ったからさ。
 世界を・・・変えると・・・
 正義のために・・・
 力なき者のために・・・」

テルミドール
「それが貴様の答えだというのか・・・
 ・・・ふん、
 安いっぽい正義を振りかざして何になる!」

ウィン
「悪かったな、
 だが、それが私だ。
 私の・・・正義だ・・・!」

テルミドール
「・・・心しておけ、
 お前たちの惰弱な発想が、
 人類を・・・壊死させるのだと・・・!(機体爆破)」

ウィン
「人類とはなんだ・・・?
 ・・・人類など、どこにもいないさ。
 オッツダルヴァ・・・。」

 (間)
ナレーション
「『尊い平和は守られた』
 何事もなかったかのように、
 企業連は、ウィン・D・ファンションに賛美を謳うと、
 ORCAの残党を追い立てる。
 その後、ウィン・D・ファンションは語る。
 『本当の功労者は私ではない、
  一人のせこい傭兵だ』
 そう言い残すと、
 彼女は戦争の歴史から、
 その名を消す。
 そしてクレイドルは静かに飛び続ける。
 限られた幸福な人々を抱きながら・・・」

BGM 終了
ナレーション
「数年後、とある墓標の前で、
 一人の女性が囁いている。」

BGM EndRoll
ウィン
「・・・結局、最後までお前に頼ってばかりだったな。」

~回想
ロイ
「へぇ、
 あんたが新しいパートナーか。
 こいつは大した美人だ。
 一人ではどうにもならない時、
 俺で良かったら、いつでも呼んでくれ。
 力になるぜ。」

~回想終わり
ウィン
「ふっ・・・
 今でも呼んだら、
 来てくれるのか?
 
 なあ・・・ロイ・ザーランド・・・
 
 ・・・嬉しかったよ・・・」

~~終わり
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プロフィール

HN:
戒愁橙里
性別:
非公開

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