アーマードコア(FROM SFTWARE)---白き閃光---
作:ひつぎ
~登場人物~
(♂4:♀2:不問1)
○エヴァンジェ♂ :30代の温厚な性格。ネタバレするとAI。
搭乗機は「ホワイト・グリント」
ジョシュアとネクスト名は同じだが、
アーキテクト(設計者)が違うため別物。
○ハリ♂ :20代の勝気な青年。
集中するとAMS適正が上昇する潜在能力を秘めている。
搭乗機は「クラースナヤ」
○オッツダルヴァ♂ :20代後半の毒舌ロマンチスト
搭乗機は「ステイシス」
○ジョシュア・オブライエン♂ :エヴァンジェ、フィオナとは戦友だった。
物静かで落ち着いた物腰。
搭乗機は旧「ホワイト・グリント」
〇チャンピオン・チャンプス♂ :乗機キルドーザーは、
両手に解体作業用のドーザーを搭載。
対ネクスト戦は想定されていない。
カラードランクも最低ランクだが、
本人のやる気だけは十分にある。
○フィオナ♀ :30代で物静かな性格。
正確には物静かな性格になった。
回想中のリンクス戦争当時は普通だった。
○セレン♀ :元リンクスらしいオペレータ。
基本的に厳しいが、特にハリに対しては、
リンクスとして恥かしい真似は決して許さない。
○ナレーション♂or♀ :戦場の雰囲気をかもし出すべきかも。
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※かなりのネタバレ注意
AC4~AC4fAまでの内容
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BGM「Opning Act」
エヴァンジェ(M)
「遠い未来の話。
人型機動兵器アーマードコア。
パイロットはレイヴンと呼ばれ、
戦車や戦闘機を遥かに凌ぐ最高戦力として、
長き時代を奔走してきた。」
ジョシュア(M)
「そんな中、コジマ博士は特殊な粒子、
コジマ粒子を発見。
それを運用した新兵器『ネクスト』が開発され、
パイロットはリンクスと呼ばれた。
結果として、今までのアーマードコアは、
『ノーマル』と称され、
ネクストに劣るものとして位置づけられた。」
オッツダルヴァ(M)
「ネクストを開発した企業群は、
環境問題の改善、資源の枯渇など、
様々な問題に対処できなくなり、
完全に信用を無くした国家に対して、
クーデターを起こした。」
セレン(M)
「それに至るまでの企業群の自信の裏づけが、
このネクストでもあった。
かくして時代は、国家に代わり、
企業が支配する新体制、
『パックスエコノミカ』となった。
・・・これは・・・その激動の時代を駆け抜けた、
白き閃光の物語・・・」
間 BGM終了
ナレーション
「テストシミュレーション室の特別ルームにて、
激しい訓練を行っているのは、
元は伝説とまで言われた、
アナトリアの傭兵。
ネクスト・『ホワイトグリント』。
白き閃光の意を持つ。
そのオペレーターであるフィオナは、
ホワイトグリントの最終テストが終わると同時に
報告する。」
フィオナ
「全目標の排除を確認。
テストモードを終了します。」
エヴァンジェ
「了解した。搬送モードに移行する。」
フィオナ
「お疲れ様・・・
今日もいいスコア。
頼もしい限りだわ。
やっぱりまだ、
この海上都市ラインアークには、
貴方の力が必要のようね。」
エヴァンジェ
「わかっている・・・。
今日は機体が軽い。
整備士長にお礼を言っておかないとな。
・・・なあ、フィオナ、今更だが、
これで良かったのだろうか。」
少し間
フィオナ
「なに?ホワイトグリント。
どうしたの?何を言おうとしているの・・・?
ジョシュアのことでも・・・思い出しているの?」
エヴァンジェ
「・・・今でも覚えている。
私もあいつも、
長い戦争でもうボロボロだった。」
フィオナ
「ジョシュア・オブライエン。
天才と謳われ、一国家同様の戦力を持ったアクアビット社を、
彼は単機で壊滅させるほどの力を持ったリンクスだったわ。
そして、私の昔からの友人だった・・・」
以下、回想
間 BGM「Fall」
ナレーション
「10年以上前、
企業同士がネクストを利用しての、
世界的戦争であるリンクス戦争。
その終結直後の出来事。」
ジョシュア
「遅かったな・・・言葉は不要か・・・」
ナレーション
「ジョシュアは他に何も語らず、
燃え盛るフィオナの故郷であるコロニー・アナトリアを背に、
全力でエヴァンジェに挑んだ。」
エヴァンジェ
「ジョシュア?なぜここに・・・
!?・・・コロニー・アナトリアが・・・
ジョシュア、まさかお前が・・・!!
・・・オーメルの差し金か!?」
フィオナ
「やめてエヴァンジェ!
今は言っている場合ではないわ!」
ジョシュア
「・・・」
フィオナ
「何をしているの!?
覚悟を決めてエヴァンジェ!
彼は本気よ。
応戦して!」
間
ナレーション
「死闘の末、エヴァンジェは勝利した。」
間
ジョシュア
「やはり…
お前は強いな…」
フィオナ
「ジョシュア…?」
ジョシュア
「がはっ!
終わりか・・・ぐあっ!
こ、これで・・・いい・・・」
フィオナ
「ジョシュア・・・。
故郷を守るために戦ってきた貴方が、
なぜこんな真似を・・・。」
エヴァンジェ
「くそっ!
ジョシュア・・・
これがお前の最後なのか・・・
悲しい、あまりにも悲しいぞ!
・・・酷い冗談だ。
・・・力を持ちすぎた二人のイレギュラー・・・か・・・
私たちを共倒れさせる気だったのか・・・
・・・そんなに私たちが邪魔か・・・!
オーメル!!」
ナレーション
「企業を壊滅させるほどの恐ろしい力を持つ二人を、
オーメル・サイエンス・テクノロジー社は恐れた。
その後、ローゼンタール社の傘下であったオーメル社は、
下克上により、ローゼンタールを逆に傘下に収めた。
今や企業連の意思は、
そのほとんどがオーメルの意思である。」
回想、終わり
間 BGM終了
エヴァンジェ
「今更思い返しても仕方が無いが、
やつがしたことは許されない。
しかし、私が手を下さなくとも・・・」
フィオナ
「あのとき彼は、
プロトタイプネクスト『アレサ』に搭乗していた。
あの機体は、
搭乗者であるリンクスに多大な負荷を与える・・・
あの規格外の高い機動力を見たらわかるでしょう?
貴方が手を下さなくても、
彼は・・・長くは持たなかったわ。」
(間)
フィオナ
「あ、通信だわ。
はい、フィオナです。
・・・はい、わかりました。
はい、了解です。
・・・では・・・。
・・・ホワイトグリント、仕事よ。」
エヴァンジェ
「休む暇も無し、か・・・
・・・了解した。」
フィオナ
「相手はオーメルの輸送部隊。
護衛はネクスト機ね。」
ナレーション
「フィオナはそう言って、
一人、ブリーフィングルームへ向かう。
『ホワイトグリント』・・・。
亡きジョシュアのネクストの名。
エヴァンジェにとって、
その名を継いだということは、
オーメルへの、
復讐を意味していたのだろうか。」
(間)BGM「Turn it Around」
フィオナ
「オーメルの輸送部隊を確認。
ミッションを開始します。
エリア内の全輸送部隊、
及び護衛機を排除します。」
エヴァンジェ
「護衛は小規模のノーマル部隊。」
フィオナ
「おかしいわ。
護衛のネクストが見当たらない。
それに車両も1両のみ…」
エヴァンジェ
「とりあえず輸送部隊を撃破する。」
フィオナ
「輸送車両の沈黙を確認。
これより積荷を確認します。」
エヴァンジェ
「了解。
確認する。
・・・ん?」
フィオナ
「・・・空っぽ…これはどういうこと!?」
BGM変更「Viper」
エヴァンジェ
「・・・おかしい、情報と違いすぎる。
・・・まさか!これは囮!?」
ナレーション
「ホワイトグリントの作戦行動中。
海上都市ラインアークは、
企業連の襲撃を受けていた。
襲撃を担当していたのは、
これが初任務となるハリと、
そのオペレーター、
セレン・ヘイズであった。」
ハリ
「こちらクラースナヤ。
作戦領域に到達した。
これよりラインアークの防衛部隊を排除する。」
セレン
「ホワイトグリントは留守だ。
やれるな?
油断だけはするなよ・・・」
ハリ
「了解!さっさと片付けよう。
リンクス戦争の英雄だけは、
相手にしたくないしな!
おらおらおらー!」
セレン
「敵の増援を確認。
所詮はノーマルだ。
コジマ粒子のプライマルアーマーを前に、
到底敵うまい。
圧倒的な力の差を思い知らせてやれ。」
ハリ
「面倒だな。
橋を落としてまとめてやるか。」
ナレーション
「ハリの駆るネクスト機、クラースナヤを前に
ノーマルを主体としたラインアークの防衛部隊は、
あっさり全滅させられた。」
BGM終了
ハリ
「こいつで・・・最後っと!」
セレン
「敵部隊の全滅を確認。
ミッション完了だ。」
ハリ
「終わりか。
へっへー、これが初任務、簡単なものだな・・・」
セレン
「よくやった。ほぼ完璧だ。
とはいえ、あまり調子付くなよ。
相手が弱すぎたのだからな。」
ハリ
「…まったく・・・愛想の無い女だ・・・。」
セレン
「ふん。
輸送機が来たぞ。
用意しろ。」
ハリ
「はいよ。」
(間)
エヴァンジェ
「・・・ちっ!遅かったか!」
フィオナ
「全滅・・・。
やはり輸送部隊は囮だったのね!」
エヴァンジェ
「くそっ!
・・・!!(輸送機の存在に気づく)
あれは・・・企業連の輸送機!!」
ナレーション
「すでに遠く離れていた輸送機の中のハリ。
ホワイトグリントは、
もはやレーダーには乗らないほど遠い。
しかし、そこにいる大きすぎる存在に、
何も感じずにはいられなかった。」
ハリ
「ん?」
セレン
「どうした?」
ハリ
「・・・いや、なんでもない。」
間
ナレーション
「数日後、初任務を華やかに終えたハリとセレンに、
すぐさま新たな任務が課せられた。」
ハリ
「『旧チャイニーズ・上海海域掃討作戦』・・・か。」
セレン
「今回は、
アームズフォート・ギガベースが撃破対象に含まれている。
お前の試金石だな・・・ん?・・・どうした?
・・・怖気づいたか?」
ハリ
「いや、初のアームズフォート戦だ。
少し武者震いがするって感じだな。」
セレン
「アームズフォートを相手に武者震いとはな。
・・・根性だけは一人前のようだな。」
オッツダルヴァ
「根性だけでは困る。
使えないやつは邪魔だ・・・。
・・・おい貴様、足を引っ張るのだけはやめろよ・・・?」
驚くハリとセレン
セレン
「お前は・・・
次の任務で協働する相手のオッツダルヴァだ。
カラードのランク1、常に戦場にあり、
実戦派の天才肌と言われている。
・・・ハリ、お前の出番はないかもな・・・」
ハリ
「面白いじゃねえか。
だったら次の任務、
どちらが先にアームズフォートを落とすか勝負しようぜ。」
オッツダルヴァ
「ほう・・・
競うのはいいが、
それ以前に貴様に単機でギガベースが落とせるのか?
アームズフォート戦は初めてだというのに・・・」
ハリ
「そんなもん、
やってみなけりゃわからねえじゃねえか!」
セレン
「くだらんことを・・・」
間
ジョシュア(M)
「アームズフォート。
ネクストに搭乗するリンクスには、
その機体を完全に操るために、
脊髄などの神経系統を直接繋ぐAMSと呼ばれるシステムが必要となる。
そのため、
リンクスになるためには、
AMSに適正する特殊な才能が必要不可欠だ。」
エヴァンジェ(M)
「その適正のないものがネクストを操れば、
脳や脊髄への高負荷により損傷が起こり、最悪、廃人と化す。
アームズフォートは、大人数を要する代わりに、
その適正がなくとも、
平均的なネクストを遥かに凌ぐ、
安定した戦力を実現する巨大兵器。」
フィオナ
「代替不可能な個人に戦力を委ねるのは、
厳に慎まれるべきである。
それがリンクス戦争から今日に至るまでの、
企業の教訓であり、
その結果生まれたのがアームズフォート・・・。
ハードウェアとして安定した戦力を約束し
扱いにくいリンクスを管理するカラード機構も、
この教訓の産物だった。」
BGM「Radiation」
ナレーション
「旧チャイニーズ・上海海域。
護衛艦艇に守られながら、
海上にそびえるギガベースを前に作戦が開始される。」
セレン
「ミッション開始。
作戦エリア内の敵艦艇、
及びアームズフォートをすべて排除する。」
オッツダルヴァ
「準備できているな貴様。」
ハリ
「当ったり前よ!」
オッツダルヴァ
「ふん。
まぁ、精々気張ることだな。
尻拭いなど、あまり趣味じゃない。」
ハリ
「あんたの手間はかけさせねえよ!」
セレン
「おい、来たぞ、半砲台型ノーマルを確認。
前面に大型のシールドを展開している。
まざまざ弾を無駄にすることもない。
回り込んで後背からおとせ。」
ハリ
「了解!」
オッツダルヴァ
「前面のみのシールドとはな・・・。
無意味なことを・・・。」
ハリ
「はっ!後ろを取ったぜ!」
セレン
「腐ってもアームズフォートだ、拠点型といって侮るなよ!」
ハリ
「なんと言おうが、
後ろをとっちまえばこっちの・・・
(被弾)ぐっ!なにっ!?
ノーマルの砲撃か・・・!
仕方ねえ、邪魔なやつらから仕留めるか・・・」
セレン
「機体ダメージ40%・・・
何をしている。
攻撃を食らいすぎだぞ!」
オッツダルヴァ
「おいおい、ノーマル程度に遅れを取るとはな・・・
リンクスを名乗るなよ貴様。」
ハリ
「うるせぇ!ちきしょおー!!」
セレン
「熱くなるな!冷静に対処しろ。
お前の敵ではないはずだ。」
ハリ
「はぁはぁはぁ・・・(荒い呼吸を整える。)
・・・ここだ!(見切ったように)」
セレン
「・・・ほう。
砲撃を回避し、味方に被弾させ、
残ったほうも次弾までに接近、
ブレードで切り伏せる・・・か。
見事な戦術だ。」
オッツダルヴァ
「ふん、なかなかだな。
有りじゃないか、貴様。」
ハリ
「はっはー!だろう?
ランク1っつってもすぐに追いつくぜ!」
オッツダルヴァ
「ふっ(小馬鹿にしたように)
それはどうかな。」
セレン
「馬鹿なっ!
一瞬で五機を撃破だと・・・?」
ハリ
「な、なんだって!
あいつがか!?」
オッツダルヴァ
「下らない敵と
下らない味方・・・
まるでファルスだな。」
ハリ
「な、なんだとぉー!」
セレン
「落ち着け、モタモタしていると、
やつにボーナス対象を全て取られるぞ。」
ハリ
「くっそー、うおあああああ!」
(間)
オッツダルヴァ
「悪いが、
ギガベースは落とさせてもらった。
残念ながら私の勝ちのようだな。」
セレン
「全目標の排除を確認。
ミッション完了だ。」
ハリ
「ちぃっ!
殲滅戦はやつのが一枚上手かよ・・・」
BGM・終了
ナレーション
「アームズフォートをオッツダルヴァに落とされたものの、
ランク1と協働したことで、
ステイシスの七光りか、
企業連の注目を集めるのには十分だった。」
間 BGM「Turn it Around」
エヴァンジェ
「ネクスト・クラースナヤ、
リンクスはハリ・・・か。
カラードの首輪付き、面白い。
彼が企業連の犬である限り、
いづれ手合わせすることになるだろう。」
フィオナ
「カラード期待の新人・・・か。
・・・大丈夫、よね。」
エヴァンジェ
「大丈夫さ、
私は今もこうして、君のそばにいる。
それはこれからも続く、
あの天才、アブ・マーシュ氏の設計した、
このホワイトグリント。
そしてリンクス戦争を生き抜いた私がいる限り、
ラインアークは守り抜く。
なあ、フィオナ?」
フィオナ
「・・・。」
エヴァンジェ
「フィオ・・・ナ・・・?
まぁいい、少し眠るとしよう。」
フィオナ
「ホワイトグリント、スリープモードに移行しました。
そう、休むのね
ホワイトグリント。」
ナレーション
「彼女にとってエヴァンジェは、
共にリンクス戦争を生き抜いてきたパートナー、
いや、それ以上の存在である。
不安を隠せないのも当然であった。
一方、ハリたちは、
次々と与えられるミッションをこなし、
ついにBFF社の主戦力。
スピリット・オブ・マザーウィルの撃破という、
過酷な任務を命じられる。」
間 BGM「Grid Room」
ハリ
「V・O・B?」
セレン
「ヴァンガード・オーバード・ブースト。
通称VOBだ。
やつに接敵するにはこいつが一番だ。
使用時間が限られるが、
驚異的な推進力でネクストを投入できる。
経費は企業側持ちだ。
気兼ねなく使え。
それから敵アームズフォート、
スピリット・オブ・マザーウィルだが、
装甲が桁外れに厚い。
ネクストとは言え、
まともに戦っても大破させるのは難しい。
ブリーフィングで言っていた通り・・・」
ハリ
「(間髪いれずに)わかってるって。
砲台を破壊すれば、
内部から融解する構造上の欠陥があるってんだろう?
要するに、
敵の攻撃手段を潰すついでに、
深刻なダメージを与えられるってんだ。
簡単な話だな。」
セレン
「ふん、言うのとやるのとでは訳が違う。
ああそれと、
私なりに計算してみたんだが、
VOBで接近できるのはある程度で、
実際は通常推力で接敵しなければならなくなりそうだ。」
ハリ
「はぁ!?
なんだって!?
敵の主砲を通常推力で避けながら行くのか!?」
セレン
「仕方がないだろう、
それほど敵の主砲の射程は長い。
VOBの有効時間内に接近できる距離より、
相手の射程距離の方が長いということだ。」
ハリ
「冗談きついぜ・・・」
ナレーション
「・・・数日後、ミッションのために、
輸送機の中でクラースナヤにVOBが取り付けられていた。」
ハリ
「大丈夫かぁ?これぇ・・・
途中で爆発なんてしないよなぁ・・・?」
セレン
「怖気づいたのか?」
ハリ
「そんなんじゃねーよ。」
セレン
「まもなく作戦領域だ。
準備しろ。」
ハリ
「・・・了解。」
準備に取り掛かる様子
BGM終了
ナレーション
「クラースナヤは、
アームズフォート、
スピリット・オブ・マザーウィルへ向けて、
今、飛び立った。」
間
BGM「Spirit of Motherwill」
セレン
「ミッション開始。
まずはVOBで一気に彼我の距離をつめる。
超高速戦闘だ。目を回すなよ。」
ハリ
「了解!」
セレン
「来るぞ、敵の長距離砲撃に注意しろ!
あんなもの、まともに食らえばタダでは済まんぞ!
廃墟を盾にして接近しろ!」
ハリ
「言われなくてもそうするさ!
花火になる気はねえよ!」
(間)
チャンピオン
「チャンピオン・チャンプス、
キルドーザーだ。
障害物の解体中止、
敵ネクストを攻撃する。」
ナレーション
「このとき彼は気付いていなかった。
BFFの雇ったネクスト、
キルドーザーが廃墟の陰に潜んでいたことに・・・」
チャンピオン
「どおりゃあああ!
もらったあああ!」
ナレーション
「不意を打とうと突如繰り出した攻撃は、
もはやVOBの使用中であるハリには避けられなかった。」
チャンピオン
「だっしゃあああ!」
ハリ
「なに!?
くそぉ避けきれねえ!」
セレン
「キルドーザー・・・
弁えない解体屋め!」
ナレーション
「しかし、そのとき、
キルドーザーが被弾し、よろめいた。」
チャンピオン
「やっぱりかあああ!」
ナレーション
「ハリは高速で通過したため、
何が起こったのか確認することはできなかった。
彼には、白き閃光が通り過ぎたようにしか見えなかったのだ。」
エヴァンジェ
「見せてみろ。お前の可能性を・・・」
ハリ
「今のは・・・?
支援射撃か?
馬鹿な、
作戦領域内はすでにやつの射程内だ。
ネクスト以外近づけるはずが・・・」
セレン
「どこを見ている!
VOB使用限界近いぞ。
通常戦闘、準備しておけ。」
ハリ
「あ、あぁ。」
セレン
「VOB使用限界。
パージする!
デカイ的だ。
しくじるなよ。」
ハリ
「任せとけって!
(主砲を避ける)うおっ!
(次々と主砲を避ける。
呼吸を荒げるが、避けるたびに踏ん張る表現。)
あっぶねぇー・・・」
セレン
「やるじゃないか、全て紙一重だが、
一撃も被弾していない。」
ハリ
「話しかけるな!
集中しねえと避けきれねえ!
(同じように次々と主砲を避ける。
呼吸を荒げるが、避けるたびに踏ん張る表現。)
・・・もう少し・・・。」
(間)
セレン
「よし、接敵成功か。
ブリーフィングは覚えているな。
砲台を狙え。
情報が確かならやれるはずだ。」
ハリ
「了解!
これよりスピリット・オブ・マザーウィルへの攻撃を開始する。」
ナレーション
「ミサイルランチャー、中距離砲、大口径長射程主砲。
破壊していく度に、
その巨大な鉄の塊の中から鉄の軋む音が聞こえる。」
セレン
「まるで悲鳴だな。
よし、そのまま続けろ。
どの道、それ以外に策はないのだからな。」
ハリ
「おいおい、火だるまじゃねえか・・・
あちこちから火を吹いてやがる。
これ欠陥ってレベルかよ・・・?」
セレン
「スピリット・オブ・マザーウィル。
第4、第5、第8ブロック、
及びメインシャフトの熱量負荷限界突破を確認。
よし、効いているようだな。
となれば、これは好機だ。
そのまま一気に仕留めるぞ。」
ハリ
「ち、ミサイルの数が半端じゃないぜ。
フレアでも持ってくるんだったな・・・。」
セレン
「ミサイルランチャーから先に落とせ。
接敵してしまえばその他はさほど脅威ではない。
だが主砲だけは気をつけろ。
この距離で当たれば洒落じゃ済まされんぞ。」
ハリ
「了解だ!
・・・よし、少しは弾幕も薄くなってきたな。」
セレン
「主砲も破壊しておけ。
一番の脅威だ。」
ハリ
「わかっている!
これでとどめだ!
・・・ようし、情報どおりだな。
内部から融解を始めたようだ。」
セレン
「マザーウィル、崩壊を開始。
今すぐ離れろ、
瓦礫の下敷きになるぞ!」
ハリ
「ぬああ!
ペシャンコはごめんだぁあああ!」
ナレーション
「BFFはその最高の戦力を失ったのだ。
一人のリンクスの手によって・・・
その情報は、
オッツダルヴァの元にも届いた。」
オッツダルヴァ
「ああ、俺だ。
マザーウィルを落としたらしいな。
・・・案ずるな、メルツェル。
そのうち時は来る。
もう少し様子を見よう。
首輪を外すのはそれからだ。
・・・ああ、わかっている。
ああ、そうだな。
そのためにも、
アナトリアの傭兵には消えていただかなければな。」
ナレーション
「オッツダルヴァは通信を終えると、
次のミッションに目を通す。
『ホワイトグリント撃破』作戦・・・」
ハリ
「なに!?
ホワイトグリントを排除しろってのか?
リンクス戦争の英雄をこの俺が・・・」
セレン
「彼はランクこそナンバー9だが、
実際はその数値以上の実力を持っている。
万全を期すために、
ランク1オッツダルヴァとの協働を提案してきた。
それぐらい危険な相手だということだ。」
ハリ
「ステイシス・・・認めたくないが実力は本物だった。」
ナレーション
「アナトリアの傭兵、オーメルにとっては、
潰し損ねたゴキブリのような厄介な存在なのだろう。
しかし、このホワイトグリント撃破作戦は、
時代の大きな移り変わりの幕開けに過ぎなかった。
海上都市、ラインアーク。都市上部。
フィオナとホワイトグリント、
オッツダルヴァ、ハリ、セレン。
役者は全てそろった。」
間
BGM・『4 The Answer』
オッツダルヴァ
「こちらステイシス。
目標を確認した。
これよりホワイトグリントを排除する。」
フィオナ
「こちらホワイトグリント。
オペレーターです。
貴方たちは、
ラインアークの主権領域を侵犯しています。
速やかに退去してください。
さもなければ、実力で排除します。」
オッツダルヴァ
「フン、フィオナ・イェルネフェルトか。
アナトリア失陥の元凶が、何を偉そうに。
・・・いけるな貴様、まあ、空気でかまわんがな。」
フィオナ
「・・・どうしても、戦うしかないのですね。」
セレン
「ミッション開始!
ラインアークの主戦力、
ホワイトグリントを撃破する。」
ハリ
「やってやるぜ!」
フィオナ
「貴方は、昔の私たちと同じです・・・。
考えてください。何のために戦うのか・・・。
For Answer(フォー アンサー)」
オッツダルヴァ
「戯言を・・・
ホワイトグリント・・・
大袈裟な伝説も、今日で終わりだ。
進化の現実ってやつを教えてやる。
政治屋共・・・リベルタリア気取りも今日までだな。」
エヴァンジェ
「政治屋・・・か。
否定できないな。
コロニーという呼び名を捨て、
自由都市であると宣言し、
人種や宗教や理念などに関係なく、
あらゆる者を平等に受け入れる新都市。
そのはずだった。」
オッツダルヴァ
「大層な理想を掲げてはいるが、
実際は、『来るものは拒まず』を地で行ったせいで、
企業からの亡命者やアウトローを大量に抱え込み、
政治の腐敗が起こってしまっている。
貴様らの理想はここで終わる。
・・・貴様らには水底が似合いだ。」
エヴァンジェ
「この戦いに意味はあるのか・・・
考えてみろ・・・。」
オッツダルヴァ
「過去の遺物が、黙って沈め!」
ハリ
「くっ!は、早ぇ・・・」
オッツダルヴァ
「それにしても、まるで空気だな貴様。
いや、空気にもなれてないのか・・・。
素人が!」
ハリ
「に、二対一で同時攻撃は気が乗らないだけだ!」
オッツダルヴァ
「フン。」
エヴァンジェ
「こいつ・・・やるな・・・!
そこだっ!
・・・ちっ!甘かったか!」
オッツダルヴァ
「な、なに!?
メインブースタがイカれただと!?
狙ったか!ホワイトグリント!!」
エヴァンジェ
「・・・?どういうことだ。
手ごたえはなかったが・・・。
まあいい、一機消えた。
これで一対一だ。」
オッツダルヴァ
「よりによって海上で!
くっダメだ、飛べん!
なっ!?
・・・浸水だと!?
バカな!これが私の最後というか!
認めん、認められるか!
こんなこと・・・!」
セレン
「水没!?
馬鹿な・・・あの程度で・・・。
単機でやれというのか」
ハリ
「う、嘘だろう・・・?
あのステイシスが・・・
あのオッツダルヴァが・・・!?」
セレン
「馬鹿野郎!
前を見ろ!敵はまだ生きてるぞ!」
ハリ
「ちっ!
やるしかねえってのか!!」
エヴァンジェ
「高みの見物とは良いご身分だ。
お前も海の藻屑になるか!」
ハリ
「負けてたまるかぁー!
おらおらおらーーー!」
エヴァンジェ
「うっ!
こいつもなかなかできる・・・!
平均的なネクストの実力はとうに超えている!
これは・・・厳しいな・・・
だが・・・まだだ・・・まだいける!」
ハリ
「相手はオッツダルヴァとの戦闘で負ったダメージがある・・・
やれるぞ!
でぇああ!」
エヴァンジェ
「くっ!
・・・ここまでか・・・
・・・ジョシュア・・・フィオナ・・・」
フィオナ
「ホワイトグリント…」
エヴァンジェ
「私は、
全てを出し切っただろうか…
…
いや…」
ナレーション
「機能を失い、落下していくホワイトグリント。
勝敗は決したかのように思われた。
・・・だが、そのとき、誰もが予想しなかった出来事が起こった。」
セレン
「ホワイトグリントの撃破を・・・ん!?
まて・・・」
フィオナ
「…これは…!?」
エヴァンジェ
「まだだ…
まだだあああ、
ホワイトグリントォォォ!!」
セレン
「ホワイトグリント…活動再開…
再起動だと!?
馬鹿な…
あり得るのか、こんなネクストが!」
ハリ
「う、嘘だろう!?
ふざけやがって!!」
エヴァンジェ
「マモル・・・
フィ・・・オナ・・・
アナ・・・ト・・・リア・・・」
フィオナ
「ホワイトグリント
貴方は・・・。
エヴァン・・・ジェ・・・!?
貴方なの!?
貴方が・・・力を・・・」
ハリ
「うああ!
くそおっ!
なんでこんなのと二回も戦わなきゃなんねーんだよ!
くそ!」
フィオナ
「ホワイトグリント活動再開しました。
もしかしたら…
まだ可能性が…」
エヴァンジェ
「…やれるのか…?」
ハリ
「ぐうっ!
くそ、ライフル残弾ゼロ!
パージする!」
エヴァンジェ
「私はまだ…守れるのか…」
ハリ
「!?
効いている…
プライマルアーマー整波が緩いぞ、
いける!」
エヴァンジェ
「まだ、君の力になれるのか…」
ハリ
「でぇやあああ!」
エヴァンジェ
「…フィオナ…」
ハリ
「なんだ…減速…し始めたぞ…」
エヴァンジェ
「…っ!?
AMSが…
そうか…
私は…私が…消える…」
ハリ
「お前の時代は終わったんだ!
早く墜ちろ!墜ちろ!堕ちろぉ!」
ナレーション
「脅威の再起動を見せたものの、
その動きは次第に減速し
ハリのブレードによる一撃で、
機体は大破した。」
エヴァンジェ
「その・・・力で・・・
お前はなにを・・・
まも・・・る・・・」
ハリ
「なんてやつだ・・・」
フィオナ
「ホワイトグリント・・・
もう、貴方は戦えないのね・・・。
・・・ホワイトグリント、機能停止。
・・・ミッション失敗です。
エヴァンジェ・・・おやすみなさい。」
セレン
「ネクスト、ホワイトグリントの撃破を確認・・・。」
間
BGM「Someone is Always Moving on the Surface」
ハリ
「やった・・・のか・・・?」
セレン
「結局、お前一人が生き残るのか・・・
想像以上だな、お前は・・・」
間
ナレーション
「後日、ホワイトグリント、
ステイシスの機体は回収され、
コックピットを確認した結果、
どちらともリンクスの姿は見当たらなかった。
オッツダルヴァは生死不明。
しかし、ホワイトグリントの方は、
完全に機能を失ったAMSがAI制御されていた形跡があり、
壊れたディスプレイの砂嵐の中に、
かすかに見て取れる文字があった。
そこには、こう書かれていた。
・・・AIプログラム『Evange(エヴァンジェ)』・・・」
間
フィオナM
「ネクストを操縦するリンクスは、
その負荷と深刻なコジマ汚染により、短命である。
リンクス戦争終結時にすでに満身創痍の彼、
エヴァンジェは、元々AMS適正も低く、
リンクス戦争が終結した10年後の現在に、
生存しているはずもなかった・・・」
ハリM
「そう、フィオナとエヴァンジェは、
共に言葉を交わすことなど出来るはずも、
なかったのだ。」
セレンM
「天才アーキテクト、アブ・マーシュは、
ラインアークの士気低下を危ぶみ、
彼の脳を、
ホワイトグリントそのものに移植し、
戦闘データからAIをプログラムすることによって、
白き閃光の守護神を作り上げ、
数年前の彼の死を隠したのだった・・・。」
ジョシュアM
「肉体を失ってなお戦い続ける彼の、
戦い続ける理由とは・・・
この『白き閃光』は、
もはや何も語らない・・・。」
(間)
フィオナ
「エヴァンジェ・・・
時が戻せるなら・・・もう一度一緒に・・・
全てを忘れられる、
戦いの無い、平和な時を・・・」
~~終わり