アーマードコア~ラストリンクス(後編)
(♂6:♀4:不問1)所要60分
作:ひつぎ
♂ハリ :20代後半。新生ORCA旅団の旅団長。
戦闘時間が僅かしか保てない特殊なAMS適正を持っており、
必然的に戦闘時間は限られる。
その時間中だけは、恐るべき戦闘能力を誇る。
そのため、時間限定の魔術師と呼ばれる。
乗機はクラースナヤ。
♂オッツダルヴァ :30代。元カラードランク1。
リンクスとしてのプライドは高く、
それ故に弱者には毒舌。有澤特注機は"飛龍"。
♀アナト・ウォルコット :10代後半。物静かな少女。
名門ウォルコット家の家柄ながら、AMS適正は低く、
それ故に勘当され、孤独の身となったが、
未だにそのお嬢様気質は抜けきれていない。
♂アディ・ネイサン :30代。オーメル陣営の管理と、ミッションの斡旋など、
何でもそつなくこなすエリート。
他者を見下して生きてきたのか、
その口調は皮肉気味。
♀ウィン・D・ファンション:30代。今やカラードランク1となった実力者、
誇り高く、それゆえ弱者やリンクスの名を汚す行為は、
絶対に許さない。
♀東堂燐華 :30代。有澤重工社長秘書。
ネクスト機、霧島は彼女の設計によるもの。
リンクスとしての実力も、社長有澤隆文圧巻物である。
♂アスイ :10代後半。ネクスト・ジエンドを駆るリンクス。
かなり落ち着いた少年。
必要十分以上働くため、企業から注目を集めている。
若くして天才的な戦闘能力を秘めており、麒麟児と呼ばれる。
♂CUBE :30代。CUBEはキューブと読む。
ジョシュア・オブライエンに次ぐアスピナのテスト個体。
実験機である「フラジール」は、
これまで何人ものリンクスを潰してきた超高機動機体。
リンクスになるために生まれたような人間。
感情をあまり表に出さず、淡々とデータ戦闘を仕掛ける。
♀メイ・グリンフィールド :30代。重量機「メリーゲート」を操る、
クールな姐御肌の女性リンクス。
身内のGAグループ内では、「スマイリー」の愛称で呼ばれる。
♂ローディー :50代。元々AMS適正も低く、粗製と蔑まれてきたが、
熟練の戦闘センスとテクニックを磨き、
今やGAの最高戦力とまで呼ばれるほどになった実力者。
しかし、その態度は決して驕らず、
面倒見の良さそうな物腰である。
♂or♀ナレーション :聞き手に情景をフィードバックさせてください
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BGM ChangeGire
ナレーション
「国家という概念が崩壊し、
企業による世界統制が始まって十数年。
新資源コジマ粒子を組み込んだ、
新兵器・ネクストと、
搭乗者・リンクスは、
その個体依存性の強い圧倒的戦力から危険視され、
リンクス管理機構・カラード機構に押し込まれる。
かつて数十人で世界勢力を左右したリンクスたちは、
その精神や誇りは見る影も無く、
汚染された地上でただ延々と続けられる、
経済戦争に使われるだけの尖兵と成り果てていた。
二大企業オーメル・サイエンスと、
インテリオル・ユニオンの共同開発により実現した、
クローンリンクス技術。
・・・もはや、諸企業にとってオリジナルのリンクスたちは、
危険分子に他ならない。
しかし、個々の意思は複雑に絡み合い、
リンクス狩りが始まって尚、
企業側につくウィン・D・ファンションや、
それに対抗すべく行動を開始した新生ORCA(オルカ)旅団。
生き残った僅かなリンクスたちは、
時代の奔流にもがき、苦しみ、
やがて、押し流されようとしていた。」
BGM Intro
ウィン
「スミカ様・・・
あなたはいったいなぜ企業側に・・・私は・・・
答えを見つけられないままだと言うのに・・・
あなたの答えを・・・知りたい・・・」
(間)
アディ
「どうですか、
いけそうですか?」
CUBE
「はい、そのつもりです。」
アディ
「ふふ、それは良かった。
被験者を何人も潰してきた、
そのフラジールを乗りこなせるのは、
もはやあなたしかいませんからね、CUBE(キューブ)」
CUBE
「お任せください。
アスピナの誇るネクストのスピードの限界を・・・
お見せしましょう。」
アディ
「では、早速弾かれ者の退場の幕引きを、
あなたにお任せしましょう。」
CUBE
「は・・・
では、出撃の手続きがありますので・・・」
アディ
「・・・(CUBEが部屋を出るのを見届ける)
・・・ふふふ・・・さすがはアスピナ機関・・・
いったいどんな教育を行っているのやら・・・
無表情で気味の悪いリンクスばかりだ・・・」
ナレーション
「新生ORCA旅団B-8攻略前哨基地。
旅団長ハリが彼らの元へ戻る。」
オッツダルヴァ
「・・・ん?
戻ったか!」
東堂
「社長は・・・
隆文(タカフミ)様は!?」
アナト
「エイ=プール様も・・・」
ハリ
「・・・」
アナト
「ハリ・・・様・・・?」
ハリ
「有澤隆文、
エイ=プール…
二人共、偉大な・・・リンクスだった・・・。」
東堂
「っ!
・・・そんな・・・」
オッツダルヴァ
「貴様、僚機を損失し、
挙句、有澤を救出できなかったというのか!?」
ハリ
「…すまない…」
オッツダルヴァ
「…っ!」
殴りかかろうとするが止めるアナト
アナト
「オッツダルヴァ様!」
オッツダルヴァ
「止めるなアナト!
フンッ!」
ハリ殴られる
ハリ
「ッ!
・・・クッ・・・」
オッツダルヴァ
「貴様は、旅団長失格だな。」
アナト
「オッツダルヴァ様・・・
あんまりです!
ハリ様もきっと一生懸命に・・・!」
オッツダルヴァ
「だからこそだ・・・
所詮その程度が限界だったということだ・・・」
アナト
「やめてください!」
ハリ
「いいんだアナト。
私の失態には、これぐらいの制裁があっていい・・・
いや、この程度でも足りないぐらいだ。
だが勘違いするな。
テルミドールを手に掛けた貴様への制裁も…
まだだということをな!」
オッツダルヴァ殴られる
オッツダルヴァ
「ほう、上等じゃないか。
ネクストを操れるだけが私だと思うなよ。」
ハリ
「来いよ。」
殴り合いをはじめる二人、
それを見て悲鳴をあげるアナト
(間)
ナレーション
「二人は殴り合いをはじめた。
長時間の作戦行動の疲れを感じさせないその拳には、
どんな想いが宿されているのだろうか。
そして騒ぎは大きくなりはじめ、
周りには下品なギャラリーが集まり始める。」
アナト
「やめて・・・」
東堂
「やめてください!
二人とも!
落ち着いて!」
ナレーション
「やがて、良識ある者がそれに気付くと、
二人を止めに入る。」
オッツダルヴァ
「・・・はぁはぁ・・・
・・・ほう、拳はお飾りかと思えば、
なかなかやるじゃないか。」
ハリ
「お前こそ、
温室育ちのお坊ちゃんかと思えば・・・」
東堂
「お二人とも、その辺にしてはいかがですか・・・
戦闘の疲れがまだ残っているはずです。
今は・・・
成すべきことのための・・・
休養を・・・。」
ハリ
「東堂・・・
すまない、こんな時に取り乱してしまった…
有澤のこと・・・私が殺したも同然だ。
本当にすまないと思っている。」
東堂
「いいえ、
社長は・・・
立派にリンクスとしての責務を全うしたのだと、
そう信じておりますので・・・」
アナト
「東堂・・・様・・・」
東堂
「さ、救護班!
このお二方を運んでください!
大事な戦力です。
丁重に扱ってください。」
BGM終了
ナレーション
「その傷とは裏腹に、
晴れやかな表情で担架に運ばれる二人。」
オッツダルヴァ
「・・・」
ハリ
「・・・オッツダルヴァ・・・
貴様には・・・
憤りと共に感謝もしている。」
オッツダルヴァ
「なんだ、
殴られて感謝とは、
貴様にそんな趣向があったのか。」
ハリ
「ふざけろよ・・・
・・・あのままでは、
私は・・・
私は、自責の念でいっぱいだった。
どうしたらいいのかわからず、
ただ自分を許せなかった。
今も許しているわけではない。
・・・だが、お前に殴られて、
少しだけ自分を取り戻せた気がする。」
オッツダルヴァ
「フン、
では、次は"飛龍"で殴ってやるから、
盛大に感謝しろよ。」
ハリ
「イカレてるぜ、お前・・・」
オッツダルヴァ
「貴様は変態だな。」
ハリ
「フ・・・」
静かに笑うハリとオッツダルヴァ
しかしすぐに殴り合いでできた傷が痛み、
お互いに呻く
Mハリ
「まるで、テルミドールに殴られているようで、
彼がまだ生きているようで、
そんな喜びも…
あったのだろうか…
私は、静かにあの日のことを思い出した。」
Mテルミドール(オッツダルヴァ)
「君とは初見となる。
私は、マクシミリアン・テルミドールだ。
君にORCA(オルカ)の一員になってほしい…
これは扇動だが…同時に、事実だ…」
ナレーション
「一方、アディ・ネイサンの管轄である、
オーメル陣営中央作戦室では。」
BGM Turn it round
アディ
「はい、
クローンリンクスによる、
リンクス狩りは着々と進んでいます。
スピリット・オブ・マザーウィルをも手に入れた我々に、
もはや逆らえる者は誰もいません。
・・・あ、は、はい、
し、しかし、あの有澤重工の雷電を仕留めました!
これは大きな報酬かと・・・
いえ・・・ORCA(オルカ)幹部はまだ・・・
はい・・・
・・・!
そんな・・・私は一定の成果を挙げました!
その私に・・・そのような・・・
どうか、それだけは!
私は・・・私は・・・!
おい、よせ!やめろ衛兵!
貴様らは私の部下のはずだろう!」
CUBE
「・・・」
アディ
「CUBE!
見ていないでこいつらを何とかしろ!
・・・は、はなせ!
私の命令が聞けないのか!」
ナレーション
「アディが連れて行かれる先は、
本人が考案した、
AMS適正を持たない者でもネクストを操れるようになる、
人体改造の実験室だった。」
アディ
「何をする気だ・・・
おい、よせ・・・やめろ!
やめろおおおお!」
ナレーション
「アディの悲鳴が施設中に虚しく木霊し、
実験中のランプが点灯する・・・
一方、GA本社クレイドル。
GA主権領域は如何なる兵器も侵犯してはならない決まりがある。
そこに数機のネクストが接近しようとしていた。」
CUBE
「グローバル・アーマメンツ社、通称GA。
子会社であるBFF社は我々の傘下へ加わったというのに、
オーメル・インテリオルに与さない時代遅れの巨人ですか。
新生ORCAの後ろ盾とも噂されている。
では、クローンリンクス部隊、行きましょうか。
雷電を失い、
グレートウォールを失い、
BFFも失った彼らGAに、
もはや抵抗する力もないでしょう。」
ナレーション
「居住を目的として製造されたクレイドルに武装はなく、
GAの戦力は、
クレイドル上部へと展開している、
ノーマル部隊のみであった。
しかしノーマル程度がネクストに敵うはずもなく、
彼らは、ただ祈ることしかできなかった。
クローンリンクスたちは、
次々とクレイドルのエンジンを破壊していく。
やがてクレイドルの一機がバランスを崩しかけた。」
CUBE
「これで終わりですか・・・
なんと、呆気もない・・・」
BGM Viper
CUBE
「・・・!?
今のは…
何者かが乱入してきている。
何者ですか・・・!?
・・・クローン達が次々と落とされていく・・・
あの殲滅速度・・・
馬鹿な…クローンと言えどネクストだぞ!?」
ローディー
「非武装のクレイドルへコジマをばら撒くネクストを、
大量に差し向けるか・・・。
気に入らんな。」
CUBE
「なっ!?
あれは・・・フィードバック!?
ローディー・・・
生きていましたか。」
ローディー
「老兵は死なずと言うだろう、
ふっ、
お遊びが過ぎたなあ、小僧。
悪いが落とさせてもらう。」
CUBE
「ほう、いいでしょう。
クローン部隊、後退してください。
私が相手をしましょう。
GAの最高戦力、
フィードバックとの戦闘データが取れるとは・・・
いい傾向です。
テストの汎用性は高くなりました。」
ローディー
「テスト・・・か。
どういう形でも構わんが、
"テストで死ぬ"のは、
お前さんのリンクスとしての最期にしては、
あんまりなんじゃないのか?」
CUBE
「・・・ほざきますね…
捕まりませんよ?
私のフラジールは・・・」
ローディー
「捕まえるさ。
今まで、このフィードバックで捉えられなかった者など、
一人も居らん。
捉えたとて、敵わない相手なら、
リンクス戦争時代にいくらでも居たがなあ。
もう昔の話よ。
最近のリンクスは軟弱モノばかりだ。
お前もその一人だ。
・・・さて、
まずは、セオリー通りに、
こいつでも食らいな!」
CUBE
「・・・!
ミサイルですか・・・
そんなもの・・・!」
ローディー
「ほう、フレアはないが避ける・・・か。
確かにそれだけ機動力があれば、
フレアなぞ必要なかろう。」
CUBE
「どうします。
誘導弾…
つまり、自動で追尾する弾でさえ、
あなたの攻撃は私には当たりませんよ?」
ローディー
「そう慌てるな、
ミサイルなんぞ、
お遊びのようなものだ。
勝手に追尾する弾を当てて何が面白い。」
CUBE
「まだ強がりますか、
いいでしょう。
リンクス戦争の生き残り、
あなたには最高速度のフラジールをお見せしましょう。」
ローディー
「なに!?
・・・いつの間に後ろへ・・・
まだ加速するか・・・」
CUBE
「言ったでしょう、
捕まらないと。」
ローディー
「だが、ネクスト戦はスピードが全てではない。
じっくり指導してやろうじゃないか。
授業料は高いぞ。
言っておくが、機体修理費とはわけが違うぞ!」
ナレーション
「常に音速を超えているフラジールの動きの一手先を読み出す、
ネクスト「フィードバック」のリンクス、ローディー。
次第にフラジールは被弾こそないが、
プレッシャーを与えられていく。
そして遂に・・・」
CUBE
「…うっ!?
なんだ…この感覚…
まるで全てを見透かされているような…」
ローディー
「ようしもう終わりだ。
動きは見切った、お前さんじゃ私には勝てんよ。
如何に機動力が馬鹿げていようと、
動きが読めれば捉えることは容易。」
CUBE
「なにを馬鹿な・・・
ぐあっ!
なんと・・・このフラジールを・・・捉える・・だと!?」
ローディー
「データで動くタイプのリンクスは簡単だ。
貴様には意思のある人間としての大事なものがかけている。」
CUBE
「大事なもの・・・?」
ローディー
「イレギュラーだよ。」
CUBE
「うあああ!
ア・・・アサルトアーマー!」
ローディー
「パターンが読めれば、
動きに合わせてアサルトアーマーで待ち構えることも容易。」
CUBE
「ク・・・
なるほど、限界ですか・・・
脆過ぎますねフラジールは。
ま、ボトルネックはわかりました。
帰還します。」
ローディー
「・・・案外あっさりと引き下がるのだな。
目的はクレイドルではないのか・・・?
・・・!?
・・・まさか、無傷のクレイドルが浮力を失っている!?
やはりそうか、
目的は・・・アルテリア施設か!」
ナレーション
「GAアルテリア施設・ゲイル。
ここは、GA製のアルテリア施設の中でも、
極めて大規模であり、
その防衛には、
多数のアームズフォートとノーマルが配備されていた。
だが今、それらは火花と黒煙をあげて沈黙していた。」
BGM 終了
ウィン
「アルテリア・ゲイルの制圧完了。
各施設も同様に成功か。
これで、GAのクレイドルは地に落ちる・・・。
・・・・・・私は・・・何をやっているのだ・・・」
ナレーション
「現在同盟関係にあるインテリオルグループと、
オーメルグループにとって、
GAグループは弾かれ者だった。
子会社である有澤重工は、
その防御の要であり、
社長・有澤隆文を失った今、指揮系統が混乱。
それに漬け込み、
一挙にオーメルらにGA本社を抑えられてしまった。
一方その頃、
アームズフォート製造工場B-8を破壊したORCA旅団内では、
次なる狙いであるクローン研究施設の破壊のために、
作戦会議が行われていた。」
BGM Interlude
東堂
「・・・オッツダルヴァ様、アナト様の情報によると、
クローン研究施設が、
なぜかオーメルの第一犯罪者収容施設内に存在した。
・・・となると、
第二、第三収容施設にも、
見通しを立てたほうがよろしいかと。」
アナト
「どうして監獄ばかりにクローン施設があるのでしょう?」
ハリ
「それは恐らく、
犯罪者達をクローン研究の材料にしていたのだろう。
第一級犯罪者ともなれば、
死んで同然みたいな扱われ方だからな。
かつて国を中心にした国家体制のほうが、
まだ人権を重んじる風潮があったらしいが・・・
今や国家は解体され、
企業が支配する時代。
もはや企業連の独裁体制だ。」
アナト
「一度我々ORCA(オルカ)に追い詰められて、
より一層独裁化した気がします。
焦っている・・・のではないでしょうか。」
ハリ
「ふむ。」
オッツダルヴァ
「とにかく、クローンを量産されては厄介だ。
ハリの話によれば、
単機でそれなり以上の戦闘能力を持つクローンも現れたらしい。」
ハリ
「エイ=プールをやったネクストだ。
コジマキャノンを操り、繊細な動きで攻撃をしかけてきた。
だが、そこまで急速に技術が進歩するものだろうか…
クローンにあんな芸当ができるとは思えない。」
アナト
「クローンではない…と?」
ハリ
「わからない。
どちらにせよ、
やることは同じだ。
東堂…」
東堂
「はい、では、
第一犯罪者収容施設 制圧作戦の説明をさせていただきます。
アルテリア・クラニアムは先の動乱で激戦区となったため、
損壊が激しく再起不能と言われています。
そのため、アルテリア・カーパルス、
アルテリア・ウルナの規模が大幅に拡大。
それに伴い、防衛設備、戦力が増強されていることでしょう。
これらを今の戦力で真正面から攻略するのは、
戦闘の長期化による増援の到着、
こちらの戦力不足の露呈を意味し、
先々の戦況にも影響が出るだめ、
無謀過ぎるかと。
よって、私からは、
カーパルス、ウルナのどちらかにターゲットを絞り、
アルテリア施設の制圧が目的と敵に思い込ませ、
その隙に収容施設を占拠する陽動作戦をご提案致します。」
アナト
「・・・というと?」
オッツダルヴァ
「アルテリア施設を少数で牽制。
増援の到着まで引きずり出しておいて、
収容所を多数で一気に落とすということだろう。
囮の者は、
あたかも大規模な部隊に見せかける必要がある。」
アナト
「つまり、ターゲットの施設に対して、
長期戦覚悟の波状攻撃を仕掛けることが、
可能というわけですね。
ネクストの高機動を生かせば、
波状攻撃のほうが効率良く攻め落とせる・・・と。」
ハリ
「そういうことだ。
だが問題はどうやってこの僅かな戦力を陽動に割くかだ。」
東堂
「陽動部隊は極めて少数にする必要があります。
まず、私が務めます。
霧島のサテライトスナイプによる多方面からの狙撃で、
複数機の狙撃と錯覚させます。」
オッツダルヴァ
「そうだな。
適任だ。」
アナト
「あとは前衛機ですね。
雷電のように、
圧倒的なまでの存在感と、
プレッシャーを与えられる個体が望ましいのですが。
もしくは、機動力を活かし、
これもまた複数機存在していると錯覚させる。」
メイ
「私のメリーゲートならどう?
この中でも重量機なほうよ。
でも火力が不安だから、
もう一人誰かサポートにつけてほしいわね。」
東堂
「メイ・グリンフィールド、申し出感謝致します。
しかし、他に重量機を駆るリンクスは・・・」
ローディー
「僭越ながら、立候補させてもらおうか。」
アナト
「・・・?
あなたは・・・」
オッツダルヴァ
「ローディー!?
生きていたのか!」
ローディー
「誰かと思えば、
オッツダルヴァの天才坊やじゃないか。
"生きていたのか"はこっちの台詞だ。
ラインアークで果てたとばかり思っていたが。」
オッツダルヴァ
「私が死ぬわけがないだろう。
誰が時代を担う?」
ローディー
「ははは、
相変わらずだな、
その物言い。
まるで自分が全世界を動かしているかのようだ。
ま、今時珍しい、
リンクスらしい考え方ってやつか?
はっはっはっ。」
アナト
「しかし、ローディー様。
GAの最高戦力であるあなたが、
どうしてここへ?」
ローディー
「GAの本社クレイドルが落とされた。」
ハリ
「なんだって!?」
ローディー
「GAは事実上の完全降伏。
私はリンクス狩りのターゲット。
流れ着いたのがこの組織というわけだ。」
ハリ
「まさか、本社を直接狙うとは・・・
本当に狂っている・・・」
ローディー
「インテリオルとオーメルが手を組んだときから、
なんとなく予想はついていた。
どちらにせよ、
時間の問題だっただろう。」
東堂
「では、ローディー様の進言通り、
私とスマイリー、
そしてローディー様の3名はカーパルス。
斥候(せっこう)の2名以外は全戦力をウルナへ向けましょう。
団長、問題ないでしょうか?」
ハリ
「ああ、ありがとう東堂。
君のような優秀な秘書を持てるなんて。
有澤は苦労知らずだったろうな。」
東堂
「いえ、私などは・・・」
アナト
「あの、ところで、
スマイリーとは・・・?」
東堂
「ああ、メイ・グリンフィールドの愛称です。
我がGAグループ内では彼女はそう呼ばれています。」
メイ
「このニコニコフェイスのエンブレムからそう呼ばれているわ。
気軽に呼んでもらってかまわないわ。」
アナト
「素敵な紋章ですね。
スマイリー様。」
メイ
「…愛称に"様"つけてどうするのよ…」
東堂
「アナトらしいですね。」
メイ
「ま、好きに呼んでちょうだい。」
ハリ
「・・・さ、時間がない。
準備にとりかかろう!」
BGM 終了ーーーーーーーーーーーーーーーーー区切り1